XEC株は、オミクロン株の2つの亜系統(KS.1.1、KP.3.3)の組み合わせにより発生したものだ。6月にドイツで初めて確認され、その後、アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本など複数の国で検出されている。
東大医科研の研究でも示されたように、XEC株は従来の変異株より高い感染力を持つ。急速に感染者を増やしており、11月初めには、アメリカ国内のコロナ感染者の28%を占めた。
このため、XEC株が今冬のコロナ流行の中心になると考えられているが、今のところ十分な研究がなされていない。現時点で専門家は、XEC株に感染した場合の症状はこれまでのコロナ感染と変わらず、重篤な病状を引き起こすことはなさそうだと考えている。
とはいえ、高齢者など一部の人には恐ろしい感染症であることに変わらない。では、今冬のコロナの流行に対して、我々はどのような対応をすればいいだろう。最新研究の成果を踏まえてご紹介したい。
感染者の7.8%に見られる後遺症
コロナ感染の問題は、死亡者数が多いことだけではない。後遺症に悩む人が多いことも問題だ。
7月、アメリカのセントルイス退役軍人研究教育財団とワシントン大学の研究チームが、『ニューイングランド医学誌』に発表した研究によると、オミクロン株流行下でのコロナ後遺症の発症頻度は、感染者の7.8%だった。
これは流行当初の10.4%、デルタ株の9.5%よりは低い。だが、アメリカでは全成人の7%、全小児の1%がコロナ後遺症を患っているという。XEC株もオミクロン株の亜種だ。多くの感染者が後遺症に苦しむ可能性は捨てきれない。
世界では、コロナ後遺症に関する議論が盛り上がっている。7月24日、『ニューイングランド医学誌』は「ロングCOVID(コロナ後遺症)を定義する」という論文を掲載した。
この論文では、「コロナ感染から3カ月以上にわたって息切れや咳、疲労感、記憶障害、頭痛、集中力の低下、めまい、頻脈、睡眠障害、味覚・嗅覚障害、便秘・下痢などが表れる場合をコロナ後遺症」と定義した。
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