ミスドが「めちゃくちゃ閉店?」噂の裏で進む変化 商品にも空間にも付加価値を大きくつけている

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冒頭のXのポストのように、秋葉原店の閉鎖で「ミスドってそんなに儲かりにくい構造なのか?」という疑問を持った人も多かっただろう。この閉鎖についてショップ側の掲示は「当ショップの都合により」となっており、取材を申し込んだメディアに対しても、詳細な回答を行っていない。 

しかし、全体として見ると、ミスドは商品の魅力を鍛える一方で、空間的な魅力も向上させてきたのは、間違いのない事実なのだ。 

業態拡大にも表れるミスドの変化 

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』書影
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ここまで見てきたように、ミスドは商品にしても空間にしても「高付加価値」を売りにしつつある。商品ではブランドとコラボした高付加価値の商品を多く取り揃えているし、空間にしても「だらだらいやすい」、カフェと競合できるような空間を作っている。それらの策が功を奏したといえるだろう。そこに、ミスドの変化の核心がある。

実はミスドは10月25日、大手ハンバーガーチェーン・モスバーガーとのコラボ店舗である「MOSDO!」を埼玉県三郷市の「ららぽーと新三郷」に展開した。 

実はこの業態は2010年から模索されていたものの、2015年に出店した関西国際空港店を最後に出店が途絶えていた(同店舗は2020年に閉店)。関東での出店は初めてとなる。ハンバーガーとドーナツを一緒に提供することで、ファミリー層の需要やランチ以外での時間の需要拡大を狙っている。 

MOSDO!のホームページ(公式サイトより) 

モスバーガーの商品などを付加価値として魅力をアップしているだけでなく、その空間としての多様性を押し出す方向で、まさに現在のミスドの変化の方向性を象徴するような出店だ。

安い値段で販売し、テイクアウトありきで店を組み立てる方向からの変化がじわじわと起こってきているのが、ミスドの現状なのだ。そして図らずも、そんな変化を秋葉原店閉店に対する人々の反応が映し出している。 

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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