ミスドが「めちゃくちゃ閉店?」噂の裏で進む変化 商品にも空間にも付加価値を大きくつけている
ここからは筆者の持論なのだが、ミスドの「空間への注力」は、コロナ禍以後の成長を大きく支えたのではないかと感じている。
というのも、コロナ禍による外出自粛の反動なのか、飲食業界の多くでリアル店舗への客数の増加が起こっている。
日本フードサービス協会が発表したデータによれば、2023年の飲食業全体の売上高は2019年比で107.7%。物価高の影響があるものの、特にミスドなどが属すると思われるファストフードは2019年比で120.1%で、かなり伸びている。コロナ前よりも多くの人が訪れているのだ。
中でも好調なのがカフェ。同協会の外食産業市場動向調査によれば喫茶業界の前年比売上は120%で、飲食業全体の平均値よりも大きくなっている。背景には飲み会の減少やリモートワークの普及などもあるだろう。
特に筆者は、ここ最近、カフェなどをはじめとして「1000円以内ぐらいでだらだらといられる空間」を「せんだら空間」と名付け、そうした空間にニーズがあることを様々な媒体で述べてきた。まさにそうした「せんだら空間」的な方向として、ミスドはピッタリだったのではないか。
ミスドの改装の要点は「店内飲食の重視」だったが、まさにこの方向は期せずしてコロナ以後の動向にマッチしていたのだ。
居心地が良くなり、カフェとしての利用も増加?
しかも、これは私がインタビューなどをしていて気づいたことなのだが、ミスドではコーヒーのおかわりが自由だったり、コンセントがある空間もあって、だらだらいやすい。それが、その他のカフェと十分競合できる空間をミスドにもたらした。
「ファミレスとカフェの中間のようで、なんとなく使いやすい」というのも、ミスドの空間としての価値だろう。そして、現在の改装でも、ミスドはカフェ化をどんどんと推し進めている(ように見える)。
つまり、ミスドが表面上は「なくなっている」ように見えるのは、逆にミスドが躍進していることを表してもいるのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら