「会社、辞めたい」の原因は4つの深層心理にあった 「離職防止」喫緊の課題になった時代の基礎知識
注目すべきは、そうした経験に基づく知見だ。離職を防ぐには、「人間が根源的に抱く4つの欲求」に基づいて部下のニーズを満たす必要があると実感したというのである。
部下は会社や上司に対して多様なニーズを抱いており、それらが満たされず、今後も満たされないと確信したときに離職を決意する。逆にいえば、部下のニーズを把握し、そのニーズを満たす対応をとれば離職は防げるわけである。そして「人間が根源的に抱く4つの欲求」こそが、そのニーズの基となるということだ。
では、その欲求とはどのようなものなのか? それぞれを確認してみることにしよう。
生存欲求――労働環境を整え、離職を防ぐ
生存欲求とは、「安心・安全に生きていきたい」と、食べ物や安全な住環境を求める欲求。ビジネスにおいては、特に給料と労働環境に関係する。
離職率が高い場合、現場の管理職の方々はその理由を「給料の問題」と捉えるケースが少なくない。「会社がもっと給料を払えば、部下も辞めない」という考え方である。ところが実際には、そう片づけられるほど単純な問題ではないようだ。
この結果からは、給料が原因で離職する人はさほど多くないことがわかる。そもそも採用時に年収が提示され、その年収に合意して入社し、その額がきちんと払われているのであれば、離職の原因をすべて給料のせいにするのは無理がある。
たしかに給料が少ないことも離職の原因のひとつではあるのだから、より高い給料を払えるようにすることも重要だ。とはいえ給料の額だけで離職率が決まるなら、給料が高い会社ほど離職率は低くなるはず。しかし現実的に、給料は高くても離職率の高い会社はいくらでもあるだろう。
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