「会社、辞めたい」の原因は4つの深層心理にあった 「離職防止」喫緊の課題になった時代の基礎知識

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最後は、公欲が満たされないことによる離職のケースだ。

公欲――やりがいを持たせ離職を防ぐ

公欲とは、人に喜んでもらいたい、人や社会の役に立ちたいという欲求です。
ビジネスにおいてはお客様や上司、部下から「ありがとう(ございます)」と感謝されたり、自社の商品・サービスが多くの人を幸せにし、社会の役に立てていることが実感できたりすると公欲は満たされます。
そして公欲が満たされると、仕事にやりがいや意義、誇りを感じます。
(188ページより)

どんなときにやりがいを感じるか、その答えは人それぞれだが、お客様や上司、あるいは部下など、誰かに喜んでもらえたときにやりがいを感じることも多いのではないだろうか。著者によれば、やりがいの心理は経営心理士のなかでも重要な論点として位置づけられているようだ。

誰かの役に立って喜んでもらうことは、仕事にやりがいを感じるうえでの重要なポイントなのである。つまり、そうして公欲が満たされると、仕事に対するモチベーションが上がることになる。そういう意味では、人に喜んでもらうことは相手のためであると同時に、自分のためでもあるということだ。

ただ、真っ当な仕事であれば何らかの形で社会の役に立っています。しかし、「社会の役に立つ仕事がしたい」と思って離職する。それはなぜでしょうか。
それは社会の役に立っている「実感」が得られていないからです。実際は社会の役に立っていても、その実感が得られないと公欲が満たされず、離職の原因となるのです。
(192ページより)

こうして確認してみると、「離職しようという判断には理由がある」ということにあらためて気づく。そんなの当たり前だと一蹴されそうだが、しかし、それは忘れてしまいがちなことでもある。

しかも上司は、とかく自分の経験や価値観に基づいて部下を判断してしまいがちだ。だが実際のところ、必ずしもその範疇に原因があるとは限らない。だからこそ本書を参考にしながら、部下を改めて観察しなおしてみるべきではないだろうか?

客観的な視点で見てみれば、部下の悩みに気づけるかもしれないのだから。そして、それが離職防止につながるかもしれないのだから。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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