「タワマン反対はカスハラ?」品川区で深まる対立 超人気エリアで起こる「住民 VS.行政」バトル

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「悪質クレーム等調査票(まとめ)」において、再開発事業への請願や陳情については次のように記載されている。

「再開発事業への反対者であり、元区議会議員であることから、地域に反対の旨のビラを配布したり、区議会に多数の請願・陳情を多数提出していることから、対応業務が増大し、業務量が増加している。また、その内容に職員や再開発関係者の個人名が記載されていたり、事実と異なる内容や組合等を誹謗中傷する内容が含まれていたり、職員の処分を求める陳情の提出など、職員が安心して働くことを妨げている状況。」

上記を見ると、品川区は再開発事業への反対について「悪質クレーム」であると断定していることになるのではないか?

ちなみに、上記に書かれた人物は佐藤弥二郎氏(元区議)だ。同氏は武蔵小山で相次ぐタワマン開発に数年前から一貫して反対してきた住民団体(「武蔵小山の再開発から住民と職場を守る会」)の代表であり、無記名でも同氏を指しているのは一目瞭然だ。

「愛される商店街」がタワマンで分断?

東京でも有数の長さ(800m)と賑わいを誇り、地元住民からも愛される武蔵小山商店街。すでに駅側の商店街入り口付近には、タワマン2棟がそびえ立つ。

さらに商店街の中にタワマン数棟を新たに建設し、商店街を寸断する計画が進んでおり、実現すれば東京都で一番長い人気のアーケード街が寸断される。

行政からの補助金と都や区が決める都市計画がタワマン建設の推進力だ。累積で400億円規模の補助金も投入される予定となっている。

一方、品川区は戸越銀座など域外からも買い物客を集める数多くの地元商店街をPRし、商店街自慢のパンフレットを作成してきた。

武蔵小山商店街では行政の関心事が再開発事業にシフトし、この「カスハラ騒動」を生むことになったのだ。

毎年9月に開催される小山両社祭(小山八幡神社・三谷八幡神社の例大祭)で賑わう品川区の武蔵小山商店街の様子(筆者撮影)
品川区の武蔵小山商店街と目の前にそびえるタワーマンション(筆者撮影)
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