生後12日で長期入院も「RSウイルス」の本当の怖さ 免疫力ない乳幼児はワクチン・予防薬で対応を
また、RSウイルス感染症は確定診断ができないこともあって、出席停止扱いにならず、原則的には高熱などの急性期症状がなければ保育園や幼稚園などに行くことができる。
「そのため、保育園や幼稚園、学校、病院、入院病棟、児童養護施設、老人ホームなどで集団感染につながりやすく、家庭内でも感染が広がりやすい」と峯さん。
予防法としては手洗いのほか、RSウイルスが流行しているときは人の出入りが多い場所へ行かない、風邪を引いている人との接触をできるだけ控えるといったことが挙げられるが、感染力の強さを考えると、完全に予防するのは不可能に近い。
そのため冒頭のケースのようにきょうだいがみんな感染し、上の子たちは軽症だったけれども、一番下の新生児が重症化するというケースが起こりやすいのだ。
RSウイルスワクチン・予防薬が登場
今年、RSウイルス感染症のワクチンと予防薬が相次いで登場した。
ワクチンは体内の免疫反応を利用して抗体を作らせる薬、予防薬は正確にはモノクローナル抗体といって、特定の病気に効果のある抗体が配合された薬だ。両方とも発症する前に使うことで、発症を予防したり、症状を軽減したりすることができる。
■ワクチン
今年5月から使えるようになったワクチンが、「アブリスボ(組換えRSウイルスワクチン)」だ。妊娠24〜36週目の母親が接種すると、胎内の赤ちゃんに抗体ができる仕組みになっている。1回接種の筋肉注射で、費用は自費で施設によって異なり3万円前後だ。
妊娠中に接種可能なワクチンには、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、百日咳ワクチンがある。
インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチンは主に妊婦自身を守るためのものだが、百日咳ワクチンは子どもを感染症から守る効果がある。それにRSウイルスワクチンが加わった形だ。
アメリカではすでに30万人を超える多くの妊婦が接種している。日本産婦人科医会理事で、産婦人医の倉澤健太郎さん(横浜市立市民病院)は、次のように話す。
「アブリスボは、臨床試験でも、実際の接種においても安全性が高いことがわかっています。それでも、より安全性と有効性を高めるため、当院では妊娠30週以降の接種を妊婦さんに勧めています」
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