生後12日で長期入院も「RSウイルス」の本当の怖さ 免疫力ない乳幼児はワクチン・予防薬で対応を

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「年齢の大きいお子さんにとっては何でもないRSウイルスでも、新生児が感染すると重症化しやすい。だから、なるべくお兄ちゃんとお姉ちゃんに接触しないよう気を付け、何らかの症状があればすぐに受診してほしいと伝えたのですが……」(峯さん)

だが、峯さんが心配したように、AちゃんはすでにRSウイルスに感染していた。

それらしき症状が表れたのは、きょうだいが受診した2日後のこと。最初は鼻詰まりと軽度の咳。そこから症状が急激に悪化し、激しい咳が出て、母乳を吐くようになった。峯さんが受診したAちゃんの血液中の酸素濃度を調べると、呼吸困難のレベルまで低下していた。

Aちゃんはすぐに小児専門病院に救急搬送されたが、そのときには血液中の酸素が不足する低酸素血症に加えて、口から哺乳することもできない状態に陥っていた。

RSウイルス感染症にはインフルエンザのタミフルのような抗ウイルス薬はない。そのため、鼻に入れた管から酸素を送ったり、栄養を入れたりして対応するしかなかった。

「AちゃんはHCU(High Care Unit:高度治療室)で集中的に治療を受け、幸いにも回復しましたが、無気肺という肺に空気が入らない状態を合併し、退院できたのは1カ月後でした。そのうえ、退院後も自力で育児用ミルクを飲めなかったため、栄養を管から入れる状況が1カ月ほど続きました。ご家族の心労も手間も大変だったと思います」(峯さん)

RSウイルス感染症とはこんな病気

RSウイルス感染症は、生後1歳までに半数以上の子どもが、2歳までにほぼすべての人が感染することで発症する、ありふれた病気だ。

症状の経過については、以下の図がわかりやすい。

ウイルスに感染してから4〜5日間の潜伏期間を経て、初期症状として咳、鼻水、熱(38〜39℃くらい)などが2〜3日続く。そのあと、強い咳や喘鳴(ゼーゼーする)、顔色や唇の色が悪くなるといった症状が4〜5日表れてから、徐々に回復していく(※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

日本産婦人科医会資料より
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