7000万円級「アストンの頂点」はどんなものか? V型12気筒搭載「ヴァンキッシュ」の出来栄え
ダンパーをスポーティモードにすると、小さなカーブが連続するサルデーニャ島の山道が積極的に楽しめる。車体のロール(傾き)を抑えられるので、操舵に対する車体の反応が速い。
おかげで、リアフェンダーがどんっと張り出した2m近い車幅を、まったくといっていいほど意識せず走ることができた。
顧客が12気筒を求める限り
今回の12気筒エンジンは、新設計とはいえ電動化技術と無縁であることが特徴だ。加速時のトルク増強のためにモーターを使う、マイルドハイブリッドシステムも採用していない。
エンジニアに聞くと、「フロントが重くなるなど、弊害も考えて電動化は避けた」という。そんな中で光るのはターボチャージャーの使い方で、それが「パワーブースト」機構である。
ターボチャージャーにあらかじめ排気を送り込んで与圧しておき、ドライバーが加速のためにアクセルペダルを踏み込んだとき、タイムラグ(遅れ)がなく過給が得られる仕組みだ。爆発的なパワー感である。
ライバルともいえるフェラーリも、2024年5月に自然吸気の12気筒エンジンを搭載した「12チリンドリ」なるスポーツGTを発表している。そのときフェラーリは「状況を見ながら、可能な限り長く12気筒を顧客に提供していきたい」としていた。
アストンマーティンも、やはり「顧客は12気筒を求めている」という。気筒数が多ければいいものではないが、“趣味のクルマ”には、さまざまな楽しさがなくてはならない。12気筒エンジンが、アストンマーティンの魅力のひとつであることに間違いはないのだ。
なお、価格は33万英ポンドというから、日本では7000万円クラスになると思われる。アストンマーティンの頂点に立つモデルだけあって、値段もそれにふさわしいものを、ということか。限られた人の楽しみであるのが、クルマ好きとしては惜しいと思うのも事実だ。
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