「いじり」と「いじめ」境界を間違えないリーダー術 3つの特徴を比べて理解 上司が意識すべきこと
その場合、「お前が出世できたのは、仕事もせず社長にゴマばっかりすってきたからだろ?」といじってみたところで、相手は「何言ってんだよ! 俺は俺なりにがんばって仕事してきたよ。失礼だろ」と不快に思うかもしれない。
昔は仲のよい間柄だったとしても、ちょっとしたタイミングで関係が悪くなるケースもある。その場合、昔は許されていた「いじり」が通用せず、「いじめ」と受け止められてしまう。相手が声をあげてくれればまだいいが、そうでなければ“被害者”は心に深い傷を負うだろう。
「いじり」と「いじめ」の境界線と見極め、そして上司が気をつけたいこと
「いじり」と「いじめ」の境界線を引くのは難しい。しかし、次の3つの視点で判断することはできないだろうか。
(2)周りの空気
(3)時と場所
まず「相手の反応」を見極めることが重要だ。笑顔で返してくれるなら問題ない。しかし、表情が曇ったり、言葉を濁したりするなら要注意だ。
「周りの空気」も大切な判断材料になる。その場にいる人々が不快な表情を浮かべているなら、それは「いじめ」と捉えられている可能性もある。自分では気づかない角度で、相手を見つめている人もいるからだ。
また「時と場所」も考慮すべきだ。2人きりだったり、プライベートな場面なら許されたりすることでも、仕事中や上司の前とかだと不愉快になる人も多い。TPOをわきまえた言動を心がけよう。
友人や同僚ならまだしも、上司と部下との関係はよりいっそうデリケートだ。上司は部下をいじったとしても、部下は「いじめ」「ハラスメント」と受け止めることもある。
新しく加わったメンバーなど、お互いによく知らない場合は、まず「心を許せる間柄」になるのが大事だ。そのためにはお互いを知ることから始めよう。
表面的なことではない。できれば、あまり多くの人には開示していないことを共有するのだ。そうすることで「特別に心を許せる間柄」になりやすい。そしてこの順番は、もちろん上司からだ。上司から積極的に自己開示しよう。
たとえば「俺はファッションセンスが悪すぎるのか、“課長とネクタイかぶると自信なくなります”って、よく後輩からいじられるんだよね」など、あえて「スキ」を見せるのだ。そうすると部下も「スキ」を見せてくれるかもしれない。
だんだんお互い心を開いて話せる状態になったら、少しずついじりを入れてもいいだろう。やってはいけないのは、関係ができてもいないときから、いったんいじって反応を見ることだ。
また脳の思考プログラムは「インパクト×回数」でできている。小さなインパクトであっても、回数を重ねられると、だんだん思考プログラムが変わってくるものだ。
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