京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」 「一見さんお断り」にも合理的な理由がある

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お茶屋の経営者のことを親しみを込め「お母さん」と呼ぶ習慣も、そんな関係性を築く一助になっているように感じます。

すべて"掛け"払いは、究極のキャッシュレス

さて、話を戻します。「恐るべし 絶対、貸し倒れしない! お茶屋さんの仕組み」です。

実は、お茶屋さんへの支払いは、すべて"掛け"なんです。その場では、お金の話はいっさいなし、現金もクレジットカードも見ることはありません。いまよりずっと前から究極のキャッシュレスだったのです。支払いは、後日、請求書が来て、支払うというシステムです。

『お金は使うほど、会社は強うなりますねん 京都の老舗を見てきた税理士が教える経営と会計』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

料理代もお花代(芸舞妓さんの派遣料)も「おとも」(タクシーのことを「おとも」と呼ぶ)の料金も、全部、全部、お茶屋さんが立て替えて支払って、一括請求する仕組みです。

これも、お客さまがもてなす大切なお客さまにお金の気を遣わせないっていう、思いやりから出たシステムなのでしょうね。なんだか粋ですね。

こんなふうに、自分を思ってくれるお母さんの料金を踏み倒すってできるでしょうか?

そもそも、そんな人だったら、なじみの客にも至らないでしょう。自分が大切だと思う人を誠心誠意もてなし、喜ばしてくれるお母さん。そんな姿勢に、お客さまも、お母さんを信頼しています。

だから、ちょっとした知人に気軽に「お茶屋さんを紹介して」といわれたところで、やすやすと大事なお母さんを紹介するわけにはいきません。「この人だったら、大丈夫! お母さんもきっと喜ぶはず」と思える人でないと、おいそれとお母さんには、紹介しないわけです。万が一があったら、この人の料金も俺が払うくらいの心意気を常連さんは持っています。

すごい仕組みだと思いませんか⁉ 信用し、信頼され、店とお客さまを超えた関係性。そんな商売ができたら幸せですね。

入口 純子 税理士、アンビシャスグループ代表

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いりぐち じゅんこ / Junko Iriguchi

京都生まれ京都育ち。アンビシャスグループ代表。税理士、FP、
上級経営会計専門家、登録政治資金監査人等の資格を有する。財
務力アップで企業再生から成長企業への道をひらく、企業再生
分野における女性税理士の第一人者。龍谷大学を卒業後、薬品会
社の経理・財務に従事しながら大阪学院大学大学院修士課程修
了。2002年入口純子税理士事務所を創業(現:アンビシャス税理
士法人)。経営計画策定支援を通じ、これまで70社以上の経営改
善を支援している。金融機関からの協力合意はほぼ100%、経営
改善計画策定後、関与先企業の86%が3年以内に黒字化するな
ど京都府内トップクラスの実績。経営者や商工会議所指導員、京
都市内地元金融機関向けの講演ほか、税理士等への経営改善、経
営計画策定セミナーなども行なっている。

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