ともあれ、どちらが勝者かわからない状態が長引くとか、選挙結果をめぐって訴訟合戦になるとか、最悪「シビル・ウォー」(内戦)になるといった心配はなくなった。お陰でこの原稿も、ある程度、結果を踏まえたうえで書くことができる。
獲得した選挙人(総数538)の数は、トランプさん312対(カマラ・)ハリスさん226ということに落ち着きそうだ。2020年時にバイデンさんが獲得した306人(この時のトランプさんは232人)を上回る堂々の勝利である。2016年のトランプさんも306人で勝っているから、「ハリスはヒラリーより弱かったぜ」くらいの憎まれ口を叩いたとしても不思議ではない。
ところで選挙資金を監視する団体であるOpen Secrets によれば、今年の大統領選挙のために両候補が集めたお金はハリス候補が10億0315万8590ドル、トランプ候補が3億8153万7980ドルである。これとは別枠で「アウトサイドマネー」と称し、支持者が勝手に候補者を宣伝するために使う資金もあって、そっちはハリス陣営約6.5億ドルとトランプ陣営7.1億ドルといい勝負であった。
いつの間にか「お金持ちは民主党」になっていた!
これだけの巨額マネーがうごめくのがアメリカ大統領選である。いやもう、わが国の「政治と金」問題が可愛らしく思えてくる。透明性があるのは結構なことだが、いかんせん途方もない金額が4年ごとに選挙というビジネスに投じられている。
ハリス陣営としては、バイデン大統領から引き継いだ資金に加えて、自前で集めたお金も含めて、ライバル陣営の倍以上の選挙資金を使って負けた、という事実は重い。いったい敗因はどこにあったのか。そして民主党は2028年に誰を候補者として、どんな戦略で戦うべきなのか。そういう議論はすでに始まっているはずだ。
そこで手がかりとなるのが出口調査である。いつもの習性でCNNの出口調査を見ていた筆者は、このデータを見てあっと息をのんだ。
このCNNの出口調査の「Income」(所得)の「2つの表」をご覧いただきたい。年間世帯所得が5万ドル以下の人たちの間では、トランプさん支持が50%、ハリスさん支持が47%で、トランプさん側のほうが3ポイントも高いのだ。
これは「共和党はお金持ちの政党で、民主党は労働者の政党」という先入観に相反するデータである。逆に、10万ドル以上の人たちの間では、ハリスさん支持のほうが「51%対46%」で5ポイントも高くなっている。「お金持ちは民主党」になっているのではないか。
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