【産業天気図・空運業】原油高で国内線値上げ。客足への影響は軽微で「曇り」

需要は、国内線は横ばい。国際線は成長著しい中国、インドへの新路線が増加して全体では微増となる見通し。ただ燃油高が重くのしかかる。国内線は全日本空輸<9202.東証>が07年4月から750円の値上げを発表。日本航空<9205.東証>も追従する見通しだ。
 個別企業を見ると、日本航空は安全トラブルや、社長退陣をめぐる「お家騒動」で生じた傷が癒えていない。旅行代理店最大手JTBとの強いパイプを利用して旅行客は確保できたが、単価の高い個人旅客の回復が思わしくない。今期、本業での営業赤字は確実だ。とはいえ今期、2期連続赤字を計上するのは避けたいところ。銀行からの融資条件が格段に厳しくなる恐れがあるからだ。そのため06年度上期は従業員の給与カットなどの経費削減、株式売却、代行返上などを発表。今後注目されるのが07年2月の中期経営計画発表だ。ここでなりふり構わず大胆な施策を打てるかどうかが日本航空の命運を握る。
 一方、全日空は好調。国内・国際線とも日本航空から個人顧客が流入して利益を押し上げている。燃油高が重いからこそ、早めに機材更新を進めており、いわば未来の収益拡大に向けて着々と布石を打っている。国内線で来年4月行なう750円値上げの影響は軽微と思われる。国際線はシカゴ線復便などネットワークの拡大に注力している。
 スカイマークエアラインズ<9204.東証マザーズ>は厳しい戦いが続いている。福岡線は大手2社の航空運賃の値下げに苦しむ。神戸線は新幹線との競争も厳しい。札幌線はエア・ドゥ<非上場>に比べ知名度が低く、顧客の取り込みが思い通りに行かない。割引運賃の導入で大手2社が追従できないような料金を導入しているが、こうした状況はまだ続くだろう。これら個別に見ると明暗が分かれるが、業界全体の天気図は「曇り」とみる。
【山本亜由子記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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