松下幸之助は、どう客をもてなしていたのか 熱意・誠実・素直さは、成功のトライアングル

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するとお客さまの後ろ姿が見えなくなった途端に、すっと空気が抜けるようになってしまったのである。そして「しんどい。わしゃ、帰る」と言ってすぐに帰っていった。

後に聞いてみると、「お客さまと約束をしてあるのだから、お客さまにほんとうに満足してもらえるようにせんといかん。わしが身体を壊しているということは、相手には何も関係がない」

自分が約束をしたから相手は来てくれているのであって、せっかく来てくれた人に中途半端なもてなし方をするのはよくないことだ、という話を聞かせてもらった。

松下が成功を成し得た3つの理由

私は先に、松下が成功した理由をひとつに限って挙げよと言われたら、それは「熱意」であると述べた(第2回記事)。しかしもう少し制限を緩めていただけるならば、「熱意」に加えて「誠実さ」「素直な心」の3つを挙げたいと思う。松下の振る舞いは、いつも熱意というものを頂点として、それを素直な心と誠実さが下支えしていたように思う。言ってみれば、これは成功へのトライアングルである。

もっとも、実際にはどれがどうとは言えないほど、この3つは不可分のものである。素直に考えればやはり熱意が大事だということになってくる。熱意を持って行動していれば、誠実さの大事なことが実感されてくる。誠実になればなるほど、ますます熱意が湧いてくるし、素直な心にならなければ駄目だとわかってくる。

そしてこの3つを挙げることは、一般的に語られる成功への技術や方程式に比べると、いささか平凡、かつ抽象的に感じるかもしれない。たとえば、能力が入っていない。あるいは、知識が入っていない。

しかし、素直な心で熱意を持って誠実に取り組めば、能力は自ずと引っ張りだすことができる。知識や情報は自然に集まってくる。知恵が生まれてくる。実行が生まれてくる。反省する心も生まれてくる。

熱意と誠実と素直。だまされたと思って、ためしにその三角形を胸に抱きながら仕事に取り組んでみてはいかがだろうか。周囲の反応が変わり、仕事の成果が変わることを、必ずや実感できるはずである。

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