突然の破産「船井電機」に起こっていた異変 調査会社が倒産の「Xデー」に目撃した驚きの現場

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運命の10月24日。TSRは、現地を取材する大阪、情報を集約する東京(筆者は東京担当)で、朝から臨戦態勢を敷いた。

船井電機クラスの規模になると、対応できる弁護士事務所は限られる。さらに今回は、権利関係が複雑に絡み合っている。登記上本社は大阪だが、こうしたケースでは東京地裁の扱いが多い。そこで、「倒産村」(倒産や事業再生を手掛ける実務家の総称)の弁護士の直近の担当案件などを洗い出した。あれこれ弁護士事務所の受任状況を探るなか、有力事務所が候補に浮上した。

その後まもなく、その事務所が担当するとの情報がTSRにもたらされた。事務所の主な弁護士のスケジュールを確認すると、明日(25日)は会合が控えていることが判明した。

従業員が一同に集められていた

さらに正午過ぎ、大阪本社に張り付いたTSRの情報部員が映した写真が送られてきた。拡大すると上層階の一角に多くの従業員が集まった姿が写されていた。企業倒産の現場を多く目の当たりすると、何が起きているかおおよそ想像できる。破産の当日に従業員は一同に集められ、代理人弁護士から破産の事実と雇用関係の解消などを告げられる。送られてきた写真は、ひと目で「Xデーは今日」と確信させた。

船井電機の本社に集まる従業員(写真:東京商工リサーチ、10月24日正午過ぎ撮影)

中小企業では何度も目撃した現場だ。だが、大阪から送られてきた写真は、人数の多さ、ワイシャツ姿の背中が普通と違うことを教えていた。

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