突然の破産「船井電機」に起こっていた異変 調査会社が倒産の「Xデー」に目撃した驚きの現場

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、「所見」欄の最後には、「創業家との事案も懸念事項」との記述がある。さらに報告書は「船井電機HDが保有する不動産に創業家が110億円の根抵当権設定仮登記」と記載している。そのうえで、運営母体の変更に前後して「取引金融機関の見直しが行われた可能性」と続けている。

こうした報告書の内容から伝わるように、関係先は今夏以降、船井電機に対する警戒レベルを大幅に引き上げていた。

レピュテーションと「Xデー」

こうしたなか、今年9月末~10月初めにかけて、船井電機の資金繰りに関して、具体的なレピュテーション(噂、風評)が多数寄せられるようになる。TSRデータベースには、「少なくとも直近2カ月の支払いについて、取引先に延期要請をしている」「最近になって支払い猶予を要請する書面を関係先に送付している」などの情報がこの時期に登録されている。

信用調査報告書では、運営母体の変更、担保設定などを基に、船井電機の変調が読み取れたが、登録された「ネガティブ情報」はさらなる資金繰り悪化を告げている。

いわゆる「Xデー」を探る動きが水面下で急を告げていた。そんな折、10月23日夕方、「電話がつながりにくい」との一報を受け、TSRは東京本社を訪ねた。応対した船井電機の関係会社の従業員は、「今日は船井電機の社員の出勤は1人だけだった」と答えた。普段から1人で対応しているのか質問すると、「もっと出勤している」という。

船井電機に近しい情報筋は、「過去に支えていた先の多くも手を引いている。支援の見込みもない。グループ向けを含め、すでに債権の精査を完了しており、(船井電機の与信は)過去の案件だ」と耳打ちした。Xデーはそこまできていた。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事