文芸評論家・三宅香帆「自分の好き」を貫く生き方 人生の節目にはいつも「本」があった
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京都大学大学院に在学中、アルバイト店員として書いた書店のブログ記事が話題を呼び、『人生を狂わす名著50』(ライツ社)で書評家デビュー。最近では、2024年4月に出版された『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)が15万部を突破するベストセラーになるなど、文芸評論家としてのキャリアを着実に築いてきた三宅香帆さん。
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幼いころから本の虫だった三宅さんにとって、小説や詩などの文芸を評論する「文芸評論家」という仕事は天職のように思えるが、最初から評論の道へ一直線ではなかった。
「本に人生を狂わされた」と著書で語るほど、三宅さんの人生の節目にはいつも「本」があった。彼女はどのように「本が好き」という気持ちを貫き、仕事につなげてきたのだろうか。
研究者の世界から、兼業書評家の道へ
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今は「文芸評論家」と名乗り、書評やインタビューなど、文章を書くお仕事をしていますが、そもそも文芸評論家という仕事を知りませんでしたし、なりたいと思ってもいませんでした。
書店のアルバイトをしてみたり、大学院で研究をしたりと経験を重ね、いくつかの選択肢を知ったうえでようやく、自分に合った仕事を見つけたという感じです。