限界集落の廃校で絵を描き続ける85歳彼の人生 活動資金は年金・絵の売り上げ・入館料
妻と共に移り住み、東京に住んでいた母親を呼び寄せる。そして、4年後の2008年4月には美術館として一般公開。
好きなことを続けられたことに感謝
客はまばらであるが、自然に囲まれた廃校という特殊な空間を独占しながらじっくり絵を眺められるのが嬉しい。
目立った宣伝はしておらず、来館者の多くは口コミ。以前は地上波テレビでも紹介されお客さんがたくさん訪れたこともあったが、新型コロナウイルスの影響で途絶えてしまったという。
85歳になった今でも、描き続ける工藤さん。足腰もしっかりしており、大きな病気もなく過ごせているのは、好きなことをやり続けられているからだという。
しかし、絵を描き続けるためには、健康だけでなくお金も必要だ。材料費がかかるほか、大きな絵となると展示するだけでも人手が必要で、人件費もかかる。
今の活動資金は年金、たまに売れる作品の売り上げ、そして1000円の入館料、この3本柱だ。お金に余裕はないものの、周りに助けられ何とか続けられてきた経験こそが、日々の活動の支えになっているという。
「今もお金はないんですけどね、やってるうちにどっかから助けが出てきてできちゃうんですよ。だからもういいや。好きなことをやり続けてやろうとね」
これだけの芸術作品を生み出し、創作活動にも終わりが見えたかと思いきや、まだまだ工藤さんの作家活動は終わらないという。生き続ける限りは、とにかく絵を描くことに集中し続けたいそうだ。
「階段や廊下の天井など、建物にはまだまだスペースがたくさんありますからね。これからもたくさん絵は描き続けたいですし、死ぬまで筆を握り続けたいと思ってます」
人里離れた廃校で、工藤さんは今日も明日も絵を描き続ける。
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