日本企業は倫理資本主義を実践できるのか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(3)

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その意味で、日本は絶好の場所だと思います。日本には非常に知的なビジネスの世界があります。特に素晴らしいと思うのが、思考とビジネスが非常に興味深い形で絡み合っているところです。非常に思慮深い経済学者もいます。だから、私は個人的に特に日本とドイツが協力することに大きな期待を寄せているのです。

政府にも果たすべき役割がある

名和高司
名和高司(なわ・たかし) 東京大学法学部卒業、三菱商事入社。ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得。マッキンゼーのディレクターの後、一橋大学教授。2022年より現職。ボストン コンサルティング グループ、アクセンチュアのシニアアドバイザー、ファーストリテイリング、味の素、デンソー、SOMPOホールディングスなどの社外取締役を歴任(撮影:今井康一)

名和:私は現在、京都先端科学大学のビジネススクールで教えていますが、京都は日本の知力の中心地だと思います。日立の東原敏昭会長やNTTの澤田純会長なども京都の大学をよく訪れ、京都は優秀な実務家と教育機関の集積地となっていますが、政府から離れています。政府も倫理資本主義において何らかの役割を果たすべきだと思いますか。

ガブリエル:もちろん、そこには政府も必要です。現実の倫理資本主義では、経済界は自ら組織化し、規制緩和の条件を整備する際に政府を支援します。そのためには新しいビジネスモデルが求められ、私たちが今行っていることを抜本的に改革しなくてはなりません。また、政府を説得し、民主的な行動領域に目を向けてもらいます。

なぜかというと、民主主義国家では、国民的議論、政党政治、議会政治などあらゆるものを通じて、民主主義のあり方、理想的には、等しく優れた選択肢の範囲を定義するからです。私たちは、邪悪な選択肢を除外し、良い選択肢の中から国民に決めてもらいたいと思っています。たとえば、拷問の導入は政治的な選択肢ではなく、除外すべきものです。

民主的な意思決定は構造化された場で行われます。 倫理資本主義がそうした場を形成するのであれば、政府はアップレギュレーションを通じてそれを支援できます。なぜなら、良い政府は良い法律をつくることに携わるからです。

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