日本企業は倫理資本主義を実践できるのか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(3)

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エシックス経営 倫理資本主義の時代
「日本には非常に知的なビジネスの世界があります。特に素晴らしいと思うのが、思考とビジネスが非常に興味深い形で絡み合っているところです」とドイツ・ボン大学のマルクス・ガブリエル教授(写真:metamorworks/PIXTA)
企業経営の分野で「エシックス(倫理)」が注目されている。日本を代表する企業のアドバイザーを長く務めてきた名和高司氏。3年前に「パーパス経営」を提唱し、日本でのブームの火付け役となってきた。
しかし、今やパーパスの実践に行き詰まる企業も数多い。その解決策として、経営において倫理を判断軸に据えるとする『エシックス経営』を提唱している。
また、「哲学界のロックスター」と称されるドイツ・ボン大学のマルクス・ガブリエル教授は、道徳的価値と経済的価値を再統合した「倫理資本主義」を提唱し、日本に向けて書き下ろした近著『倫理資本主義の時代』が大きな話題となっている。
今回、ガブリエル教授の来日に合わせ、日独の「倫理資本主義」について、大いに語り尽くしてもらった。

日本企業と倫理資本主義

名和:日本にはかつて、自己利益だけではなく、他の人の利益や幸せを尊重する利他主義の考え方がありました。

ところが、アングロサクソン型資本主義が押し寄せて、第2次世界大戦後、さらには「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された絶頂期が終わった後に、アメリカから学ばなければならないと、株主資本主義を輸入してきました。これは日本の伝統的な価値観にまったく反するものでした。

ガブリエルさんは親日派です。日本は今、ビジネス面で非常にアメリカナイズされていますが、倫理資本主義について、日本企業との関連性をどのようにご覧になっていますか。

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