2000億円を動かした移籍代理人の超絶仕事術

世界のサッカーを動かすメンデス氏を直撃

② 人材発掘の際は能力よりも内面を見る

2つ目のポイントは能力よりも内面を見る、ということだ。

才能ある若手を見つけ、彼にとって最適な仕事場を見つける。メンデスはこの20年間、そうして選手を動かしてきた。人材発掘の際に重視するのはなによりも内面だという。

「表面的な技術や能力よりも、私が重視するのは、その選手の内面です。これまでに、すばらしい才能を持っていながらも、トップレベルにたどり着けなかった選手をたくさん見てきました。それらは技術的な部分よりも、メンタル面に問題があるケースが多かった。一方でそれほど才能に恵まれなかったとしても、後の努力で一流になった選手もいる。彼らに共通するのが、メンタル面での安定と高いプロ意識です」

クリスティアーノ・ロナウドの内面に惚れた

内面やプロフェッショナリズムについて語る時に彼がまず例に上げるのが、メンデスが何よりもその内面に惚れた男、クリスティアーノ・ロナウドだ。

「クリスティアーノは100%のプロフェッショナルで、彼を超える選手は現れないとさえ私は思っています。今、最先端を走るクラブの首脳陣の間では、人間力の高い人物で組織を構成することの重要性が再認識されつつある。人間的に優れた選手が集まった組織は、勝利を手にする可能性が高くなるからです。逆にチーム内に、1、2人でもプロとはいえない人物がいれば、それは少しずつグループを蝕んでいき、やがて組織全体にも影響を与えてしまうのです」

 ③ 契約で縛りつけない

メンデスのエージェントとしてのメソッドで特筆すべきなのが、選手との間であえて契約を結ばない、ということだ。

簡単に言えば、メンデスがこれまでに関わってきた選手たちは、いつでも好きなときに、ほかのエージェントと仕事をすることができるのである。

「私が最も重視しているのは、選手との個人的な関係です。多くの選手とは家族のような関係を築いています。実際、彼らは私にとっては家族そのもの。だから契約を結んで選手を私のもとに縛りつける必要はないし、そうはしたくない。選手は、もし私との関係が嫌になれば、いつだってほかのエージェントに切り替えることができる。これまで私は選手に法的に訴えられたことは一度もないですし、私の方から訴えることもないでしょう。意見の食い違いやビジョンの違いがあれば、話し合って、すぐにでも仕事上の関係を終えることができる。彼はどこでも好きなエージェントと契約できます。そういうシンプルな関係の方が、両者にとっていいのです」

通常であれば、自らが発掘し順調に成長していった選手とは、できるだけ長い契約を結び、自分の会社で囲い込みたいと思うものだ。有名になった時点でほかのエージェントと契約されれば、それまでの時間や努力が水の泡になってしまう。

しかしメンデスはそうは考えていない。彼が結ぶのは、初めて仕事をするときに書類上必要なものだけだ。

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