ホンダ、社長が初めて触れた「業界変革」の中身 「0テックミーティング」で見たホンダの行方

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これが次世代BEVになると、充電・給電によるエネルギーマネジメントや、バッテリーのリサイクル・リユース、SDV(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)化によるデータ管理・通信まで、さまざまな領域が枠を超えて関わっていくことになる。

そこで、三部社長に対して「バリューチェーンの変革やメーカー/ディーラー/ユーザーとの関わり方は、どう変わっていくのか」と尋ねた。

これに対して三部社長は、ハードウェア/ソフトウェアという2つの視点から回答した。電動化については、電池の材料調達・製造、リユース、充電などで「複数の事業が立ち上がっている」とする。

ホンダが描く、EV関連のバリューチェーンに関する提案の一部(筆者撮影)
ホンダが描く、EV関連のバリューチェーンに関する提案の一部(筆者撮影)

具体的には三菱商事と協業するALTNA(オルタナ)や、アメリカで自動車メーカー7社と協業するIONNA(イオンナ)などだ。それら各事業が最終的にはエコシステムとしてつながり、新しいビジネスの構築を目指すという。

初めての「踏み込んだ」発言

そのうえで示したのが「(従来のような)開発、生産、売り切る(ビジネスの形)とはかなり変わってくる」とのイメージだ。各種事業が動き出すのは、ゼロシリーズが市場導入される2026年からの想定だという。

2028年ごろにはゼロシリーズの中古車が生まれ、バッテリーのリユースなどが始まるため、2030年代までに新しいバリューチェーンが動き出すというシナリオだ。

また、SDVに対しては「ソフトウェアとともにハードウェアの進化も必要」だとして、車載システムのハードウェアには導入初期から一定以上のスペックを持たせる必要性を示した。

ハードウェアの導入サイクルも、半導体の高度化などにともない「3年程度で進化する」との見解だ。

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また、ソフトウェア領域は今後、自動車産業やIT産業界での標準化が進むことも想定されるため、単独での収益性については慎重に考えていくという。

最後に、このような自動車産業のバリューチェーンに対するホンダの事業方針については、「また別の機会を設けて説明したい」と語った。

バリューチェーンの変革について、ホンダとしてここまで踏み込んで話したのは、筆者が知る限り今回が初めてだ。EVシフトを踏まえたホンダのビジネスモデルのシフトは、これからもフォローしていきたい。

【写真】プロトタイプ車両から技術展示まで0テックミーティングの中身
桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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