中国の車載電池業界では、過去数年間に各社が新増設を競った生産設備が続々稼働したタイミングで、EV販売の成長が鈍化。業界全体が価格競争の激化と設備稼働率の低迷に苦しんでいる。最大手のCATLも例外ではなく、2024年上半期(1~6月)の設備稼働率は65.3%に下がっていた。
だが、CATLは(製品価格を下げて受注量を拡大する戦略により)この苦況をすでに克服しつつあるようだ。同社の経営陣は決算説明会で、7~9月期の車載電池の出荷量が大幅に増えたことにより「生産ラインはフル稼働に近づいている」と明らかにした。
リチウム相場下落で減損
CATLは7~9月期の決算報告書と同時に、リチウム相場の急落に伴う特別損失についても開示した。具体的には、棚卸資産の減損引当金として14億3000万元(約301億円)、長期資産の減損引当金として52億2000万元(約1098億円)をそれぞれ計上した。
同社の説明によれば、リチウムイオン電池の主原料である炭酸リチウムの市場価格が大幅に下落したため、保有資産の簿価と実際に回収可能と見込まれる価値の差額について減損処理を実施したという。
この事実は、原材料の値下がりがCATLにとって必ずしもメリットだけではなかったことを物語っている。同社は中国国内でリチウム資源が豊富な江西省宜春市に大規模な投資を行ったが、同市でのリチウム採掘事業と炭酸リチウムの加工事業は(採算が合わないため)操業を一時停止している。
これらの事業の再開見通しについて、CATLの経営陣は「コスト低減策を検討しており、今後の状況を見て判断する」と述べるにとどめた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は10月19日
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