わずか1週間で閉店「りゅう社長」"撤退劇"の真相 「話題作り?」との声もあったが実際は全然違った

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1000円だらけの中に680円が飛び込めば勝てるかもしれない。得意なSNSも駆使しながら、街中を揺らしていきたいという思いです」(りゅう社長)

680円は、観光客向けの店が大半を占める鎌倉エリアでは、類を見ない安さだ(筆者撮影)

「とびっこ東京」はワンオペでもできるようにレシピが組まれており、人件費がまず抑えられる。さらにオペレーションが簡単なので誰でもできるというのも大きい。

失敗を糧に、地域の人にも愛される店づくりに立ち返る

また、将来的にはフランチャイズ展開もしやすいように設計されている。テイクアウトだけでなく、スタンディング、席ありのお店、立ち食い蕎麦スタイルなどいろいろな展開も考えられる。

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「まずはなんとしてでも鎌倉店を流行らせねばと思っています。デジタルとアナログの両方を駆使して、地域の人もしっかり取り込めるように動いていきたいと思います。

文化を作るのは時間もお金もかかりますが、最終的には“運”の要素も大きい。しばらくは『鈴の木』と『とびっこ東京』の2つの軸を大事にしながら戦略を練っていきたいと思います」(りゅう社長)

あまり世の中には知られていないが、人気店の店主たちの中にも「1軒目は失敗し、2軒目で成功した」「新ブランドが、最初は上手くいかなかった」といった経験を持つ人は少なくない。そして、中には失敗の後に経営を諦める人もいる。個人事業主や、会社経営者である彼らにとって、店を出すということは、人生を懸けた大勝負なのである。

だが、りゅう社長には、抜群のマーケティング力と商才がある。8年間で11軒ものお店が閉店した「ラーメン屋の墓場」と呼ばれた物件で大成功を収めた彼なら、今回の失敗も糧に変えてくれるのではないか。

「とびっこ王子」と名乗り、再びSNSや動画に多数出演し始めているりゅう社長(筆者撮影)

事実、りゅう社長は「とびっこ王子」と名乗り、再びSNSや動画に多数出演し始めている。お店が当たるまでは「とびっこ王子」のプロモーションに集中していく予定だ。新たな文化を作ることに果敢にチャレンジするりゅう社長の今後に期待したい。

8年間で11軒ものお店が閉店した「ラーメン屋の墓場」と呼ばれた物件で、大成功を収めたりゅう社長。浅草店は結果的に失敗に終わったが、糧にできるか、注目だ(筆者撮影)

過去の取材記事はこちら:8年で11軒閉店「ラーメン屋の墓場」で繁盛した必然 「日本一アンチが多い」店主は何を考えてきたか

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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