わずか1週間で閉店「りゅう社長」"撤退劇"の真相 「話題作り?」との声もあったが実際は全然違った

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そのために開発されたのが、麺の上にとびっこをのせた「とびっこ東京」だった。

こちらが「とびっこ東京。浅草では、1杯1000円で提供していた。インバウンド客の多さを見込んでの価格設定だったが、結果的に裏目に出ることになった(筆者撮影)

茹でた細麺の上にタレと油をかけ、上にとびっこをのせたシンプルなまぜそばである。これを4月の栃木県小山市のラーメンイベントで提供してみることにした。

メニューの発想のきっかけは、高田馬場にある「博多ラーメン でぶちゃん」で提供されていた「とびっこチャーハン」。見た目にも絵力があり、美味しくて人気のあるこのメニューに注目した。

「とても魅力的な商品で、これをラーメンとして作れないかなと思ったのがきっかけです」(りゅう社長)

茹でた麺をお碗に移し、それを皿の上にパカっと移すことでチャーハン状の丸いフォルムができあがる。ここにホタテや鯛のベース、油をかけ、上にとびっこをのせて完成だ。

調理も商品の見た目も、"映える"設計になっている(筆者撮影)

「観光地で勝つためには“映え商品”にすることが大事です。そのためには写真を撮りたくなるラーメンに仕上げる必要がありました。色ではなくフォルムで見せられる商品作りは、これまでラーメン店がやってこなかった手法です。立体的に絵を見せられるのは『とびっこ東京』の強みだと思います」(りゅう社長)

浅草と鎌倉で物件を契約も、浅草で大失敗

こうして「とびっこ東京」が出来上がった。「ラーメン」や「油そば」という名前がついているとお客さんが固定観念を持って食べに来るので、それを避けるために、今までになかった新しい食べ物ということで「とびっこ東京」と名付けた。「と」が2つ続く語呂がよくキャッチーな名前にした。

観光地で「とびっこ東京」を展開することは決まり、あとは物件を決めるだけという段階になった。2024年も残り半年になり、大きな挑戦をしようと、りゅう社長は7月に浅草と鎌倉の2つの物件を同時契約した。

とびっこ東京浅草店
オープンから1週間で突然閉店した「とびっこ東京 浅草店」(※りゅう社長提供)

浅草店を先に流行らせて、その後鎌倉に進出するというストーリーを描いていたりゅう社長は、8月25日に浅草に「とびっこ東京」の1号店をオープンした。準備万端で臨んだはずだったが、これが大失敗となる。

「浅草のごった返している人混みを見て、集客には全く困らないと思っていました。看板を出しておけば最低限の数のお客さんは来るだろうと高を括っていたのです。しかし、それは甘い考えでした」(りゅう社長)

古きよきものが愛される街・浅草に、今まで誰も見たことのないものを持ってきてしまったことで、「とびっこ東京」は誰にも見向きもされなかった。

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