近年は、日本の国際競争力の低下が問題となっていますが、子どもの頃から競争を回避させるような教育が進めば進むほど、そうした傾向が進むのも当然です。
たとえば、2024年のIMF(国際通貨基金)による世界の1人当たり名目GDP(国内総生産)ランキングでは、日本は38位。ついに、韓国(35位)や台湾(34位)にも抜かれ、3年連続で過去最低ランクを更新しています。
他の先進国や新興国と違い、日本だけが数十年にわたって成長していないというのは異常な事態といえるでしょう。成長が停滞しているどころか、現在の円相場は1ドル160円を超えています(2024年7月1日時点)が、急速に進んだ円安は日本の競争力が急激に低下していることを示しています。
科学の世界でも競争力が低下
科学の世界でも、日本の競争力の低下が指摘されています。
文部科学省の「科学技術指標2023」によると、注目度の高い論文数ランキング(引用回数の多い論文数の比較調査。論文の注目度と質を表す指標として用いられている)で、2005年まで世界4位をキープしていた日本は年々順位を落とし、2023年の発表では13位になりました。
これはデータが残っている1981年以降でもっとも低い順位であり、人口が半分の韓国(10位)より下回りました。ちなみに、中国は日本と反対にどんどんランクを上げ、2022年からは2年連続で1位です。
「人に勝つこと」「貪欲に学ぶこと」を良くないことと考える社会では、やはり国としての競争力も伸びていかないのも当然ではないでしょうか。
精神分析学者のコフートが言うように、本来、子どもには人から褒められたい、認められたいという野心があります。その野心を満たしてあげることで、子どもの健全な自信や負けん気を育てることが大事なのです。
「人に負けたくない」という気持ちは、人間として自然な感情です。その自然な感情を親が支え、育てることで、子どもの内面からやる気が湧き上がってきます。
子どもの負けん気や自信を育てることは決して悪いことではないし、子どもの成長につながることなのです。
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