セブンの「上げ底弁当?」が今また"猛烈批判"の訳 値上げによる客離れを恐れ、ファン離れが発生か

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「ファンを大切にする」という大切さ

「グレイトフル・デッドはアーティストだからファンが大事だけれど、セブンはコンビニ。そもそもその2つを比べるのは無理があるんじゃないの?」と思った方もいると思う。

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』書影
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

しかし、近年のコンビニ業界を見ていると、それぞれのコンビニに愛着を持つ「ファン」を作り、彼らを大事にすることが重要だと思えてくる。

というのも、コンビニの数は現在、飽和状態にあるからだ。日本フランチャイズチェーン協会が発表した2024年8月の国内コンビニ店舗数は5万5730店舗で、前年同月より0.1%(80店)減っている(前年同月は5万5810店舗)。微減ではあるのだが、前年を下回るのは、2022年6月から26カ月連続。数の面ではほぼ天井に達している。

こうなってくると、その数が飽和しているコンビニの中、各社は「店舗数増加」以外でそれぞれのコンビニの魅力を高める手段が求められる。

もちろん、プライベートブランドの拡充で商品力を上げたり、これまで出店していなかった地域への出店も重要だが、それも限界がある。そんな中、それぞれのコンビニに「愛着」を持った「ファン」(今でいうと「推し」?)を作っていくと、より持続的にそのコンビニを消費者は利用してくれるのではないか。

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』でもこう書かれている。

情熱的なファンが、会社や製品のことをほかの人に話し、そのアイディアを広めてくれる、ということを忘れてはならない。情熱的なファンは、何年も繰り返し自社の商品を買ってくれるのだ。

コンビニが飽和し、ただ「モノが買える場所」としての強みを失った先には、ある種の「ファンマーケティング」的な方法でシェアを拡大するほかないのではないか。

実は、筆者もセブンのファンである。かなりの頻度、セブンでご飯を買っている。いうまでもないが、セブンの強みは圧倒的な「食べ物のおいしさ」にある。個人的には「2種レタスのシーザーサラダ」が大好きで、ほぼ毎回買う。「武州煮ぼうとう」もめちゃくちゃおいしくて、食べるたびに毎回感動している。

「金のシリーズ」にも根強いファンがいるように、セブンは圧倒的な商品力で「ファン」を作る力をまだまだ持っていると思う。今回の騒動を生かしつつ、セブンがどのように「ファン」を作っていくのか、ひとりのファンとして期待したい。

谷頭 和希 チェーンストア研究家・ライター

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

チェーンストア研究家・ライター。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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