これら、私が述べた④から⑧は、政治制度に左右されない。政治制度成立以前に存在する社会の力であり、トップダウン的な明治時代も、民主主義が進んだ戦後以降も、日本では同じく成立している。
しかし、民主主義は維持されてはいるにもかかわらず、昨今、社会への無関心、他人への無関心、袖振り合うも他生の縁、という言葉とは正反対の行動をとることが多数派の価値観になりつつある社会、これが急速に進み、日本の社会資本は減少しつつある。したがって、政治制度よりも、その奥にある社会資本、もっと根本から社会に堆積している大事な土壌の維持、豊饒化が重要だと私は考える。
社会資本を蓄積する政策こそ、経済発展をもたらす
長くなってきたので、飛躍して結論を述べるが、そのための政策、社会資本を蓄積するような政策こそが、社会を立て直し、経済発展をもたらす、と考える。それが21世紀に特に急激に必要となってきたのは、金融資本主義が発達しすぎて、金融資本の膨張が社会資本をクラウドアウトし(押しのけて)、従来、社会の基盤となっていた社会資本の減耗、棄損、破壊を放置してきたからである。
そして、この社会資本は一朝一夕には蓄積できない、難しい。そして、すべての現代社会で不足しているから、今後は、この社会資本を蓄積できた社会は、相対的に発展する、そして経済膨張主義が行き詰った後は、前述のような社会資本が充実した社会こそ、豊かな社会であり、世界の中で成功した社会と呼ばれることは必然であるからである。
次回は、これを具体的な社会政策・経済政策に落とし込んで、具体的な提言をしてみたいと思う。一部は序章のような形で私のブログにアップしているので、次回の東洋経済オンラインの配信までにご一読いただければ幸いだ(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が、週末のレース予想や競馬論などを語るコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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