NASA発表「太陽の活動"極大期"」今後1年は要注意 3つの危険物質、通信障害も?わかりやすく解説

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太陽フレアによって引き起こされる出来事は、かなり複雑ですよね。

こうした地球を取り巻く宇宙で起きる自然現象を「宇宙天気」といい、その予測をすることを「宇宙天気予報」といいます。文字通り、天気予報の宇宙版です。

ただ、宇宙天気予報は完成されたものではなく、日々観測データを蓄積し、研究が行われている現在進行形のものです。

太陽フレアが起こるきっかけのメカニズムや、フレアにともなう地球への影響の評価には、まだ謎や課題が残っています。

太陽フレアの発生はこれからがピークに

国の研究機関、情報通信研究機構(NICT)のウェブサイト「宇宙天気予報」では、日々、太陽や地球周辺の現状や予報についての情報が発信されています。

ただ、何も知らずにのぞいてみると、難解な用語に圧倒されてしまいます。こうした情報に少しでもなじめるようにと思い、今回の記事では専門用語を多めに入れて解説してみました。

ウェブサイトのトップページには、先ほど紹介した「プロトン現象」「地磁気擾乱」「デリンジャー現象」という言葉があるので、多少の安心感はあるのではないでしょうか(いや、それでも、やはり難しいですね)。

2022年、国は、100年に1度の極端な太陽フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」を発表しました。

今回紹介した出来事が悪い形で発生し、相当な数の人工衛星の墜落、広範囲での停電、GPSのずれによる衝突事故などが起こると想定されています。

さらに「太陽電波バースト」という電波のノイズによって、2週間にわたって携帯電話、緊急通話(110番・119番)、テレビが断続的に使えなくなる事態に陥る可能性もあります。

文明の利器に支えられた現代の社会システムには、宇宙天気による災害のリスクが潜んでいるのです。

太陽の活動は、いま、そしてこれからが本番。今後1~2年は、大規模な太陽フレアが発生し、地上の暮らしに影響が出ることも十分考えられます。

そんないまは、地球を取り巻く宇宙環境について学んでみるいいタイミングかもしれません。

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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