建物の前にはタイル張りの広場があり、石のテーブルやチェア、ベンチが置かれ、中央に大きな木がそびえ立つ。
白い壁と空、樹木、小さな広場。いつかテレビで見た地中海の風景を思い出した。
建物の名は「ビラ・モデルナ」。1974年(昭和49年)に竣工した、地上10階地下2階、総戸数200戸近くの集合住宅で、今年50周年を迎えた。
ロビーはまるでホテルのよう
建物の入り口は、なんと回転式。丸いモチーフのモダンな扉だ。
回転扉をゆっくり押して建物の中へ。そこには、絵画が飾られ、ソファセットが置かれたロビーが広がる。ホテルのようなフロントと、レトロな化粧室、壁にはルームナンバーが掲げられている。
「昔は24時間体制でフロントに人が立ち、鍵や郵便物を預かったり、電話をつないだり、フロント業務を行っていました。ロビーの隣にイタリアンレストランが入っていた時代もあり、ルームサービスを行っていたと聞いています」
そう話すのは、建て主である興和商事の取締役の新槇照代さんだ。興和商事はこの建物の一角にオフィスを構え、一部住戸を保有する管理組合の理事長という側面も持つ。新槇さんは不動産事業部長として建物の維持・管理に携わっている。
印象的な外観に、ホテルのような共用部。ここにはどのような歴史があり、どんな人々が暮らしてきたのだろうか。
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