竣工から50年経っても、ビラ・モデルナの人気は衰えない。家賃は、物件サイトを見ると約24㎡で18万円ほど。
ビラ・モデルナの価値を維持するために、どのように建物の管理がされているのだろうか。興和商事の新槇さんは「共用部」を挙げた。
「ロビーや中庭、エレベーターなど、共用部をよりよいものにすること。絵画を飾ったりソファセットをきれいにしたり、中庭の樹木の世話もそうです。暮らしている方はもちろん、来訪された方も気に入っていただけるように心がけています。管理組合で話し合い、修理や修繕もすぐに対応するようにしています」(新槇さん)
さらに最近は、給水管や排水管の交換など大規模な修繕も重ねた。屋外の電気設備の交換も予定している。防犯面も強化し、夜間は入り口をオートロックに。防犯カメラを多数設置し、居住者への安心感も高めている。
半世紀にわたって変わらない約束事
価値を保つために新たな試みを続ける一方で、半世紀にわたって変わらない約束ごともある。
それは、ロビーや中庭での食事は禁止、洗濯物や雑巾を外に干すのも禁止といったルールだ。洗練された都市型住宅の雰囲気を保つために、居住者間でも約束が守られている。
昨年から、消防訓練にあわせて年に1回、中庭で納涼会が開催されている。居住者や関係者が集まり、この日だけは中庭でビールを飲むことができる。ビラ・モデルナを利用する人同士が顔を合わせる貴重な場であり、新槇さんも普段接点のない居住者と話す機会になった。
「この建物がすごく好き、管理がすごくいい、とおっしゃってくださる方がいました。賃貸で借りていらして、売りに出たらぜひ買いたい、と。建物が好きで入居して、仕事場として使いこなして、さらに好きと言ってくださるのは、建て主の会社としてとても嬉しいことです」(新槇さん)
石田鑑三さんが、時代を先取りして提案したビラ・モデルナの都市型生活。50年を経た今も、レジデンシャルオフィスとしてほかにはない魅力を放っている。
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