テスラ完全自動運転EV発表も実現性に疑問の声 2027年までの販売を宣言も技術と規制のハードルに直面

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クルマの仕様についてはあまり語らなかったマスク氏だが、1つだけ、これまでにない新機能がこの電気自動車に搭載されることを明らかにしている。それは誘導式の充電機能が装備されるということだ。いわば、スマートフォンで普及しているワイヤレス充電の電気自動車版だ。この機能があれば、買い物から帰宅した際、荷物を家に運び込んだ後で、充電プラグを挿しにガレージに戻る必要がなくなる。

Tesla
サイバーキャブで買い物に出かける様子(写真:Tesla, X)

テスラは以前、サイバートラック用のワイヤレス充電機能を開発していると伝えられていたため、それがサイバーキャブ向けに用意されたとしても意外ではないが、サイバートラック用は後付けのオプション装備になると考えられていた。

ちなみにテスラは2015年に、あくまでスタディケースとして触手型自動充電プラグを公開していた。それに比べれば、ワイヤレス充電ははるかにスマートで実用的と思われる。

本来はModel 2だった?

振り返れば2006年、マスク氏はテスラの「マスタープラン」として、まず高級モデルを生産・販売し、その利益を低価格帯のファミリーカーの開発資金に充当するという計画を説明していた。そして、2012年に「Model S」、2015年に「Model X」、2017年に「Model 3」、2020年に「Model Y」を市場に投入してきた。

Tesla
左からModel S、Model 3、Model X、Model Y(写真:Tesla)

テスラが次に発売する車種は(2017年にサプライズ発表されてから音沙汰のないTesla Roadsterを除けば)、Model 3の下のクラスに位置するModel 2が予定されていた。Model 2では、ついに一般消費者が気軽に買える、1台当たり約2万5000ドルからの価格帯を予定し、2025年後半にテキサスの工場で生産を開始すると言われていた。

ところが今年になり、テスラは中国市場で現地EVメーカーとの競争が激化し、売り上げが落ち込んでしまった。これまで維持してきた全電気自動車(BEV)の世界販売台数1位の座も中国BYDに脅かされ、かつての華々しさが霞みつつあるようにも見えた。BYDは、すでに中国で1万ドル前後で売られる電気自動車「シーガル」を含む複数の低価格車を販売している(アメリカは9月、中国製EVへの制裁関税を100%に引き上げたが、それでもシーガルはModel 2が目標とする2万5000ドルより安い)。

そんな矢先の4月、業績報告の場でマスク氏は、2025年に量産を開始するとされていたModel 2の計画を中止した。そして長らく構想を語ってきたという「ロボタクシー」に関するイベントを8月に発表し「テスラが自動運転フリートを運営することになる」と述べた(その後、8月の発表は10月に延期された)。

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長らく構想を練ってお披露目となったロボタクシー / サイバーキャブ(写真:Tesla)
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