テスラ完全自動運転EV発表も実現性に疑問の声 2027年までの販売を宣言も技術と規制のハードルに直面

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こうした流れと、今回発表されたロボタクシー(サイバーキャブ)の姿を見ると、もともとはModel 2だった車体からハンドルとペダルを取り払い、完全自動運転専用EVとして付加価値を高めようとしたのが、サイバーキャブなのではないかとも考えられる。

テスラの完全自動運転はいつ普及するのか

今年の春より、テスラはオプションとして販売している自動運転機能ソフトウェア「FSD」にアップデートを提供し、これまで名称に添えていた「ベータ版」という言葉を「監視付き」に変更している。

監視付きとは要するに、ドライバーが常に周囲に注意を払い、必要とあらば運転を引き継ぐために「監視」している必要があることを示している。アップデートによって、FSDの機能はさらに安全になったが、それでもまだ乗員の「監視なし」で、自動的に目的地へ到着できるには至っていない。

自動運転専用の車内(写真:Tesla)

だが、マスク氏はこのイベントで、サイバーキャブが発売される前に、既存のModel 3とModel Yが「監視なし」の完全自動運転機能を備えるようになり、2025年にテキサス州とカリフォルニア州でそれが利用可能になると述べた。

長年にわたりテスラの技術動向をチェックしてきた人なら、おそらく「本当にそんなことが可能だろうか?」と思ったことだろう。本人も認めるように、イーロン・マスク氏のスケジュールに関する発言は大抵が楽観的であることは言うまでもない。

一般の公道上でハンドルやペダルのない「監視なし」の完全自動運転を行うには、規制当局による承認が必要となり、そのエリアも限定される。マスク氏の言うようにカリフォルニア州とテキサス州で2025年までにその承認が得られたとしても、テスラの監視なし自動運転車が走行できるのは、当面は限られたエリア内だけになると予想される。

サイバーキャブが街中を当たり前のように走り回る日は来るのか(写真:Tesla, X)

また、マスク氏が数年前にロボタクシーの話をし始めた当初に語っていた「テスラの自動運転車が、仕事などで使われない時間に配車アプリを通じ自動的に走行し、本来の意味のロボタクシーとして利用させることで、所有者に副収入をもたらす」という話も、今回のイベントでは一切語られなかった。

ちなみに、一部メディアは今回のイベントの前に、テスラが会場となるワーナー・ブラザースの撮影所内でジオマップデータの取得作業を行っていると報じていた。それが本当なら、テスラはこのイベントで、ハンドルのない完全自動運転車を走らせるために、そのクルマが備える能力だけでなく、GPSなどと連動する詳細な道路データを使用している可能性がある。

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