今も1杯430円「スガキヤ」安くやってこられた理由 地元密着企業の、こんなにもある強さの秘訣

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常連客からすると「コーヒー一杯の価格でラーメンが食べられるお店」というイメージがついており、派手な値上げはできないのだという。400円台に上げること自体も相当な勇気が要ったそうだ。

(写真:筆者撮影)

安く提供するためには、経費の削減は必須である。その象徴のような存在が「ラーメンフォーク」である。ラーメンフォークはスプーンとフォークが合体したもの。スプーンの先にフォークが付いているという、他で見たことのない形状の食器である。

これが生まれたのは1978年。創業者の菅木周一氏が、当時毎日大量に捨てられている割り箸を見て、これはもったいないと立ち上がり、開発したのだという。

森林伐採の問題なども叫ばれていて、環境保護の観点から開発されたものだが、一方でこのラーメンフォークは「ケチ」から生まれたものとも言われている。とにかく経費を削減し、ラーメンを安く提供するための汗と涙の結晶なのである。

『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』の著者・高井尚之氏は、モノ不足の時代に育った当時の経営者には、「ケチ」が信条だった人が一定数おり、「スガキヤ」もそうだったに違いないと分析する。

(写真:筆者撮影)

正直、このラーメンフォークでは麺を食べづらく、結局箸を使う人が増え、ラーメンフォークはレンゲ代わりになってしまった。2007年に形を改良したものの、お店に行くと箸を使っている人が大半だ。

今は洗い箸が使えるようになったことでエコの面を考えても解決したが、ラーメンフォークは「スガキヤ」の象徴として今も残っている。そして、箸を使えない子どもたちには好評だという。

低迷期はほとんどない。その理由は?

(写真:筆者撮影)

このように低価格で営業を続けてきた「スガキヤ」だが、実は低迷期はほとんどない。さすがにコロナ禍は売り上げが低迷したが、その後回復し、2023年度は約114億円とコロナ前の業績を上回っている。

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