「夢なんかなくていい」中学生に諭した禅僧の真意 「実現したい自分」は、じつは非常にあいまい

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「夢や希望」は、かえって人生の妨げになるかもしれないという(写真:zon/PIXTA)
かつて、中学生に向けて「ためになる話をしてほしい」と頼まれ、「夢や希望なんて持たなくても大丈夫。なんの問題もないから、安心していい」と語った、禅僧の南直哉氏。さらに、夢を叶えることよりも、夢が破れてもしぶとく生きていくことの大切さを説いたところ、子どもたちは明らかに話に食いついてきたといいます。
そんな南氏が考える、「自分らしさ」や「自己実現」の追求にともなう功罪とは、いったいどんなものなのでしょうか。
※本稿は、南氏の著書『新版 禅僧が教える心がラクになる生き方』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

「夢」や「希望」がなくても人は生きていける

以前、ある中学校に講師として招かれました。

司会をしていた教師に、「これから、ためになるお話をしていただけます」と紹介されたので、「そんな話は、私にはできませんが……」と断って、こう切り出しました。

「私は60歳前のおじさんですから、みなさんの気持ちは少しもわかりません。これからする話がためになるかはわからないが、私にも中学生だった時代があります。当時のことを思い出しながら話すので、自分の役に立つと思ったことだけを覚えていてくれれば十分です」

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