「夢なんかなくていい」中学生に諭した禅僧の真意 「実現したい自分」は、じつは非常にあいまい

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本当にその思いを叶えたいと思うのなら、自分が夢や希望を持つことの意味を、冷たく見てみるしかありません。「冷たい」とは、端的に言えば、夢や希望との距離を自分自身できっちり測れることです。

今の自分と、夢との距離を見極めることができるなら、そこへ至るまでの手段を考えることができます。その夢を叶えることが、本当に可能かどうか。そのために、リスクと犠牲を払う覚悟があるのか。それが見えてきます。

本気で夢を叶えたいのなら「目標」に変えたほうがいい

そこに至るまでの道筋を具体的にイメージできなければ、漠然と「○○になりたい」と夢見ていても先はありません。本気で夢を叶えたいのなら、むしろ「目標」に変えたほうがいいのです。

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「夢」が「なりたい職業」のことなら、自分の能力を厳密に測って就職までの道のりを具体的に読み、条件を揃えてチャンスを得るだけです。それで首尾よく就職できればけっこうですし、できなければ、後は「夢」を断念するタイミングを見誤らないことが大切です。つまり、「目標」とは断念の可能性をきちんと折り込んだ「夢」のことです。

要するに、「ダメかもしれない」と覚悟のうえで先に考えるのが、「冷たく見る」ということです。「冷たく見る」とは、「さめた目」で見ることとは違います。「さめた目」には、まだ余裕があります。

自分に対して、徹底的に冷たくならなければなりません。夢も、その夢を追う自分自身も「絶対零度」にして始める。

あえて「ひょっとしたら、自分には才能がないかもしれない」「夢は叶わないかもしれない」と考えるところから始めるのです。そうすれば、安直な夢にコミットすることはなくなるはずです。

南 直哉 禅僧

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みなみ じきさい / Jikisai Minami

1958年、長野県生まれ。青森県恐山菩提寺院代(住職代理)、福井県霊泉寺住職。早稲田大学第一文学部卒業後、大手百貨店勤務を経て、1984年に曹洞宗で出家得度。同年から曹洞宗・永平寺で約20年の修行生活をおくる。『恐山 死者のいる場所』『超越と実存 「無常」をめぐる仏教史』(新潮社)、『善の根拠』『仏教入門』(講談社)、『死ぬ練習』(宝島社)など、著書多数。

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