解説者が「大谷翔平のモノマネ」でクビになった訳 米国の「キャンセルカルチャー」はどこへ向かう

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:ccckkk/PIXTA)
現在プレーオフ真っ最中の大谷翔平選手。まさにアメリカを熱狂させているが、過去には解説者が大谷選手のモノマネをして即降板になったことがあるという。何が問題になったのか。日本でも近年話題となっている「キャンセル・カルチャー」について、アメリカで活躍する日本人スタンダップコメディアン、サク・ヤナガワ氏が解説する(本稿は『どうなってるの、アメリカ!』より一部抜粋・編集したものです)。

アジア系のアクセントを模したら

2021年8月、MLBのデトロイト・タイガース対ロサンゼルス・エンゼルスの一戦が、本拠地デトロイトの中継局バリースポーツで生放送されていた。6回表、大谷翔平が打席に入った際、実況アナは、解説のジャック・モリス(白人)に「あなたなら大谷をどう攻めますか」と問いかけた。

すると、モリスはアジア系のアクセントを模した英語で(具体的にはLとRを混同させながら)、「ベリー・ベリー・ケアフル(とても慎重に攻めるよ)」と答えたが、この白人によるマイノリティの英語のモノマネが差別的だと炎上。試合途中の9回にモリスは謝罪に追い込まれた。

「先ほどの大谷選手への発言は、差別的な意図があったわけではありませんでした。しかし、特にアジア系コミュニティの方々に不快な思いをさせてしまったのなら申し訳ありませんでした」

試合後、この一件をUSAトゥデイやESPNなどの大手メディアが一斉に報じると、局はモリスに対し、無期限出演停止処分を下した。

たった数秒のアクセント・ジョークで、1人のベテラン解説者が職を失った。この発言自体に無論悪意があるわけではなく、ネット上ではこうした処分が重すぎるのではという声も聞かれた。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事