解説者が「大谷翔平のモノマネ」でクビになった訳 米国の「キャンセルカルチャー」はどこへ向かう

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コメディアンのシェイン・ギリスも過去の「チンク」発言で「キャンセル」された1人だ。2019年、人気テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の新キャストにアナウンスされたギリス。

しかし前年に自身のポッドキャストの中で披露したコントの中で「チンク」という表現をしていたことが発覚し、1日も出演しないまま降板に追い込まれた。

「白人コメディアンのシェイン・ギリス、アジア人蔑視で『サタデー・ナイト・ライブ』を降板へ」というセンセーショナルな見出しは当然私の目にも届いた。この発言も、本人の口から発せられたものではあるものの、あくまでも「キャラ」を演じる中で用いられたものだったことは強調に値する。

文脈を無視した批判が殺到

自身で制作するポッドキャスト番組『マット&シェイン』の中で、「こんな家主は嫌だ」というテーマで即興コントを展開したギリスは、1940年代のレイシストな白人家主をカリカチュアして演じてみせる中で、この卑語を用いた。

当然、忌まわしい歴史を内包する言葉の発話が軽率だとの批判もあるが、それ以上に音声の切り抜きが独り歩きし、文脈を無視した批判が拡大したことも確かだ。

近年、こうした時代の流れの中で、少なくともコメディ・シーンにおける「キャンセル・カルチャー」は少しずつ形を変えつつある。ここ数年で、文脈を無視したジョークの切り抜きによる「キャンセル」はむしろ暴力的であり忌避されるべき、という意見が目立つようになった。

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