解説者が「大谷翔平のモノマネ」でクビになった訳 米国の「キャンセルカルチャー」はどこへ向かう
そして「アジア人蔑視発言」で「キャンセル」されたトニー・ヒンチクリフは現在、同劇場のレギュラーとして活躍するほか、新たに大手エージェントと契約を交わし、昨年大規模なアリーナ・ツアーを成功させた。
シェイン・ギリスもテレビなどでキャリアを積み重ね、昨年全米ツアーを成功させた。そしてついに今年、降板となった『サタデー・ナイト・ライブ』にキャストよりも格上とされる「ホスト(司会)」での「返り咲き」を果たした。この出演はテレビ業界の「キャンセル・カルチャー」への姿勢の転換点として注目すべき事例であろう。
昨日までセーフだった発言が明日にはアウトに
2024年現在、「キャンセル・カルチャー」は、ときに正義として、ときに脅威として、この社会に横たわっている。そして時々刻々と形を変えながら、巨大なうねりとなって人々を揺り動かしている。昨日までセーフだった発言は、明日には「キャンセル」の対象になり、明後日には賞賛されることもある。
そんなつかみどころのない価値観の狭間で私たちコメディアンはジョークを作る。そしてそこには、「これがアウト」で「これはセーフ」という明確なルールブックは存在しない。あえて言うのであれば「誰が、どの文脈で、何を、どのように言うのか」に尽きるが、それさえ無視され批判にさらされる世でもある。
「表現の自由」に普遍性も絶対性も存在しないからこそ、時代の声を読む「正しさ」が必要なのかもしれない。
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