中国の対外直接投資の統計データを読むうえでは、留意すべき例外もある。「一国二制度」をとる香港向けの投資が、統計上は対外投資の扱いであることだ。
2023年の中国から香港への直接投資額は1087億7000万ドル(約15兆6344億円)と、対外直接投資の総額の6割強を占めた(訳注:香港は中国の対外直接投資の中継点になっており、最終的な投資先を把握するのは難しい)。
もうひとつ、中国独特の集計と言えるのが、広域経済圏構想「一帯一路」の沿線国向けの直接投資額だ。中央アジア諸国や南シナ海・インド洋・地中海東部の沿岸諸国が含まれており、2023年の直接投資額は407億1000万ドル(約5兆8516億円)と前年比31.5%増加した。
オーストラリア向けは8割減
一方、中国の対外直接投資の縮小が目立つのが西側諸国だ。アメリカ向けの2023年の直接投資額は69億1000万ドル(約9932億円)と、前年比5.2%減少。業種別では(アメリカの)金融業への投資が22億5000万ドル(約3234億円)と最大だったが、前年比では31.6%も減少した。
同じくEU向けの直接投資額は64億8000万ドル(約9314億円)と、前年比6.1%減少。業種別では、情報通信・ソフトウェア・ITサービス業向けの投資額が7億2000万ドル(約1035億円)のマイナスだったのが目を引いた。
(訳注:負の直接投資額は、事業の縮小や撤退に伴う資本回収が新規投資を上回ったことを意味する)。
また、オーストラリア向けの直接投資額はわずか5億5000万ドル(約791億円)にとどまり、前年比80.4%も激減した。その主因は(オーストラリアの鉱物資源への投資が含まれる)鉱業向けの投資額が3億2000万ドル(約460億円)のマイナスになったことだ。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は9月25日
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