中国のパソコン最大手の聯想集団(レノボ・グループ)は8月18日、アメリカ金融大手ゴールドマン・サックスの元社長のジョン・ソーントン氏を社外取締役として招聘したと発表した。同氏の任期は3年間で、レノボの指名委員会およびコーポレート・ガバナンス委員会の委員を兼務する。
「ソーントン氏は国際金融界の著名なバンカーであり、なかでも中国とは30年にわたる深い交流を重ねてきた。近年は米中の民間レベルのコミュニケーションを精力的に担っており、その貢献ぶりは『経済分野のキッシンジャー』とも讃えられている」
レノボは声明のなかで、ソーントン氏をそのように紹介。同じ声明のなかで、レノボの董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)の楊元慶氏はソーントン氏への期待を次のように述べた。
「卓越したグローバルな指導力と洞察力、そして極めて広い視野を持つソーントン氏の業務経験と人脈は、レノボに重要かつ貴重な価値をもたらしてくれるだろう」
年俸1ドルで清華大学の客員教授に
ソーントン氏は、ゴールドマン・サックスの社長に1999年に就任(編集部注:当時の会長兼CEOは後にアメリカ財務長官となるヘンリー・ポールソン氏)。その後、2003年に1000万ドル(約14億5000万円)超の年俸を捨てて退社し、わずか1ドルの年俸で中国の理工系の最高学府である清華大学の客員教授に転じた。
中華人民共和国の(1949年の)建国以来、中国の大学の客員教授となった欧米出身の大物バンカーは、ソーントン氏が初めてだ。2008年には(中国の金融人材の育成や欧米金融界とのパイプ役の功績が認められ)、ソーントン氏は中国政府が外国人に与える最高の栄誉である「中国政府友誼賞」を受賞した。
近年、米中関係の緊張がエスカレートするなか、ソーントン氏は両国の民間レベルの相互理解を保とうといっそう尽力してきた。同氏は財新グループが2023年6月にシンガポールで開催した国際会議「アジア・ニュービジョン・フォーラム」で講演し、「アメリカと中国の双方が、両国関係が全世界の国々に影響を与えることをしっかり認識しなければならない」と強く訴えた。
ソーントン氏は、現時点ではレノボ以外の中国企業の取締役は務めていない。同氏はレノボから34万ドル(約4943万円)の年俸を受け取ることになっており、そのうち10万ドル(約1454万円)は現金で、24万ドル(約3489万円)はストックオプションで支払われる。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は8月20日
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