中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は8月22日、2023年4~6月期の決算を発表した。同四半期の売上高は340億5600万元(約6841億円)と前年同期比15%増加。非アメリカ会計基準(Non-GAAP)ベースの純利益は79億9800万元(約1607億円)と、同44%の大幅な増益を達成した。
4~6月期の業績はアナリストの事前予想を上回るものであり、アメリカのナスダックに上場する百度のADS(アメリカ預託株式)は上昇。8月22日の終値は128.36ドル(約1万8724円)と、前日比2.75%上昇した。
百度の屋台骨を支えるのは、連結売上高の6割近くを稼ぎ出すオンライン広告事業だ。同事業の4~6月期の売上高は196億元(約3967億円)と前年同期比15%増加した。
「広告収入の増加は、ゼロコロナ政策の緩和後にヘルスケア、(ネット出前などの)生活関連サービス、旅行といったオフライン・ビジネスの回復が持続していることが大きい。また、百度のAI(人工知能)が顧客に対してより効果的な広告プランを提案可能にしたことも、売上アップに貢献し始めている」
同社の共同創業者兼CEO(最高経営責任者)の李彦宏氏は、アナリスト向けの決算説明会でそう述べた。
AIで既存サービスをアップブレード
百度は目下、大規模言語モデルを用いた生成AIの開発と応用に全力を傾けており、各事業分野でのブレークスルーの実現を目指している。同社は2023年3月、独自開発した生成AI「文心一言(アーニーボット)」のテスト版を中国ネット業界のライバルに先駆けて発表した。
「文心一言との組み合わせで、百度の既存サービスである検索、地図、広告など(の顧客体験)をアップグレードできる」。李CEOは事あるごとにそう強調しており、2023年5月には企業顧客向けの生成AIプラットフォーム「文心千帆」も発表した。
とはいえ4~6月期の業績からは、生成AIの導入効果はまだ読み取れない。同四半期の百度のスマート・クラウド事業は、売上高の伸び率が前年同期比5%にとどまった。
「クラウド事業の伸び悩みは、政府関連ビジネスの回復が遅れている影響が大きい。製造業やネットサービス関連の需要は安定した成長を見せている。生成AIがもたらす業績拡大の実現には、まだ一定の時間がかりそうだ」
百度の執行副総裁(副社長に相当)でクラウド事業の責任者を務める沈抖氏は、今後の見通しについて決算説明会でそう述べた。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は8月23日
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