中国スマートフォン市場「販売低迷」が長引く背景 ハードウェアの進化鈍り、消費者の関心が低下

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中国のスマホ市場全体が低迷するなか、ファーウェイは逆に市場シェアを伸ばした(写真は同社ウェブサイトより)

中国のスマートフォン市場の低迷が長引いている。市場調査会社のIDCが7月27日に発表したデータによれば、中国市場における2023年4~6月期のスマホ出荷台数は前年同期比2.1%減の約6570万台にとどまった。

「4~6月期の出荷台数が前年同期を下回ったのは想定外だった。というのも、1年前は新型コロナウイルスの流行(を封じ込めるための厳しい防疫措置)の影響を受け、スマホの販売が大幅に落ち込んでいたからだ」。IDCの中国担当シニアアナリストを務める郭天翔氏は、財新記者の取材に対してそう述べた。

郭氏によれば、中国の消費者の間ではスマホなどのデジタルガジェットに対する関心が、以前よりも薄れているという。特にハードウェアに関しては技術革新のペースが鈍化し、消費者への訴求力が低下しているためだ。

「中国のスマホ市場の回復は予想より遅れている。10~12月期には前年同期比プラスに浮上する可能性があるが、回復の度合いは大きくないだろう」(郭氏)

ファーウェイの市場シェアが上昇

IDCのデータをメーカー別に見ると、4~6月期の中国市場ではOPPO(オッポ)が17.7%のシェアを獲得し、ランキング首位に立った。2〜5位にはvivo(ビボ)の17.2%、栄耀(Honor)の16.4%、アップルの15.3%、小米(シャオミ)の13.1%が続いた。

注目されるのは、華為技術(ファーウェイ)が市場シェアを13.0%に伸ばし、小米とわずか0.1ポイントの僅差で6位に浮上したことだ。上位メーカーのなかで4〜6月期の出荷台数が増加したのはファーウェイとアップルだけであり、首位のOPPOは微減、vivoと栄耀と小米の3社は2桁の大幅減を記録した。

(訳注:ファーウェイはかつて中国のスマホ最大手だったが、2020年にアメリカ政府が発動した制裁により最先端の半導体の調達が困難になり、出荷台数が大幅に落ち込んでいた)

本記事は「財新」の提供記事です

「ファーウェイはアメリカ政府の制裁に新型コロナの影響が重なり、2022年4〜6月期の出荷台数が(他社以上に)少なかった。それに加えて、2023年4〜6月期に旗艦機種『P60シリーズ』の大規模な販促キャンペーンを実施したことが、出荷台数を押し上げた」。ファーウェイの好調の要因について、郭氏はそう分析する。

(財新記者:趙元、翟少輝)
※原文の配信は7月28日

財新 Biz&Tech

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ザイシン ビズアンドテック

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