中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の業績回復が、海外市場向けゲーム事業とオンライン広告事業の好調により加速している。
同社が8月16日に発表した2023年4~6月期の決算報告によれば、同四半期の売上高は1492億800万元(約2兆9837億円)と前年同期比11%増加。投資損益やストックオプションなどを差し引いた非国際会計基準(非IFRS)の純利益は375億4800万元(約7508億円)と同33%増加し、四半期ベースでは過去1年で最大の増益幅を記録した。
事業カテゴリー別では、4~6月期はオンラインゲームを中心とする「付加価値サービス」の売上高が742億1100万元(約1兆4840億円)と前年同期比4%増加し、総売上高の半分を占めた。
特筆すべきなのは、海外市場向けのゲーム事業の売上高が127億元(約2540億円)と、前年同期比19%の高い伸びを示したことだ。これとは対照的に、中国国内市場向けの売上高は318億元(約6359億円)にとどまり、前年同期比横ばいだった。
オンライン広告をAIで効率化
テンセントの多様なサービスの入口となっているスーパーアプリ「微信(ウィーチャット)」の月間アクティブユーザー数は、4〜6月期は前年同期比2%増の13億2700万人に達した。また、その他の有料サービスの登録ユーザー数は同3%増の約2億4100万人だった。
4〜6月期のオンライン広告事業の売上高は250億300万元(約5000億円)と、前年同期比34%の高い伸びを記録した。ただしこれは、前年同期は上海など中国各地の都市で新型コロナウイルスの厳しい防疫対策が実施された時期に重なり、広告の出稿が大幅に落ち込んでいた影響が大きい。
それに加えて、テンセントはAI(人工知能)による機械学習を通じた広告表示の最適化が、4〜6月期の広告事業の売上高を押し上げたとしている。同社の高級幹部は決算説明会で、AIの活用状況について次のように解説した。
「テンセントのエコシステム内には、独自のユーザーデータとまだ十分に活用されていない広告リソースが大量にある。各サービスの(データ通信の)トラフィックとユーザーデータが分散しているため、個別の消費者に広告を効果的に届けるルートは複雑だ。そこでわが社は、大量のAIプロセッサーを導入して大規模なニューラル・ネットワークを構築し、広告システムの効率を向上させた」
(財新記者:関聡)
※原文の配信は8月17日
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