長年にわたりアメリカの制裁対象となってきた中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は8月11日、2023年上半期(1~6月期)決算を発表、売上高は前年同期比3.1%増の3109億元(約6兆2181億円)、純利益は前年同期から3.09倍の466億3500万元(9327億円)となり、業績回復が鮮明になった。低下が続いていた純利益率も底入れした格好だ。
ファーウェイはアメリカの制裁下でも研究開発投資を増やし続けた一方、純利益率は2018年の8.2%から2023年1~3月期にはわずか2.3%にまで低下していた。しかし同4~6月期には24.38%に急回復した。
同社は利益率大幅上昇の理由を明らかにはしていないが、この上半期の経営は全体的に安定しており、業績は期待どおりだったとしている。主要事業別の売上高は、ICT(情報通信技術)インフラ事業が1672億元(約3兆2541億円)、スマートフォンを軸とする端末事業が1035億元(約2兆700億円)とこの2部門で全売上高の8割以上を稼ぎ出した。このほかクラウドコンピューティング事業が241億元(約4820億円)、デジタル・エネルギー事業が242億元(約4840億円)、スマートカー・ソリューション事業が10億元(約200億円)だった。従来から収益の柱だった端末事業の売上高は前年同期比2.17%増と底入れの兆候を示した。
ファーウェイの輪番董事長(会長に相当)を務める孟晩舟氏は、「2023年上半期、ICTインフラ事業は引き続き安定、端末部門は増加、デジタル・エネルギーとクラウド事業も順調に伸びており、スマートカー向け付加部品の競争力も引き続き向上している」と述べた。
スマホ、中国製5G半導体搭載でシェア回復か
端末事業はアメリカの制裁により最も大きな痛手を受けた部門で、5G(第5世代移動通信)用の半導体とアメリカ企業のスマートフォン用OS(基本ソフト)の利用を制限されたことにより、多くの海外顧客を失った。ファーウェイの端末事業売上高は2020年上半期に過去最大の2558億元(約5兆1161億円)を記録したが、2022年上半期には1013億元(約2兆260億円)と半分以下に落ち込んでいた。
市場調査会社のIDCのデータによると、部品調達の問題解決にメドがつき始めたことから、2023年4~6月期の中国市場におけるファーウェイのスマートフォン出荷台数は前年同期比76.1%の大幅増を記録、中国市場でのシェアは13%と、中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)と並ぶ5位になった。
多くのアナリストは、ファーウェイが2023年下半期に中国製の5G用半導体を搭載して市場に復帰し、より高い市場シェアを獲得するだろうと予想している。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は8月11日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら