中国・山東省で巨大「石油化学コンビナート」稼働 石油精製能力2000万トン、供給過剰に拍車も

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裕龍島プロジェクトは煙台市の沖合を埋め立てた人工島に建設されている(写真は事業主体に出資する南山集団のウェブサイトより)

中国の山東省煙台市の人工島に巨大な石油化学コンビナートを建設する「裕龍島プロジェクト」。その第1期工事のプラントが部分的に完成し、9月25日に生産を開始した。

裕龍島プロジェクトは山東省政府の「一号工程」と呼ばれる最重点事業であり、2020年10月に着工した。それから3年を経て、年間生産能力1000万トンの石油精製プラントが今回稼働。第1期の未完成のプラントも、2024年末までに生産準備が整う予定となっている。

プロジェクトは2期に分かれており、第1期では総額1168億元(約2兆3855億円)を投じて年間生産能力2000万トンの石油精製プラント、同300万トンのエチレン・プラント、同300万トンの混合キシレン・プラント、それらの貯蔵・輸送インフラなどを建設する。

小規模製油所の乱立が背景

第2期のプラントも第1期と同規模を計画しており、完成時の石油精製能力は(両期の合計で)年間4000万トンに達する。

山東省政府が裕龍島プロジェクトを計画した背景には、同省が全体としては中国有数の石油精製能力を持ちながら、個々の製油所の規模が小さく、立地も分散しているという長年の問題があった。

小規模の製油所は(原油相場や景気変動に対する)リスク耐性が低いうえ、生産品目に占める(低付加価値の)石油精製品の比率が高く、(高付加価値の)石油化学製品の比率が低い。そのため多くの製油所が綱渡りの経営を迫られており、9月14日には山東省の2つの小規模製油所が裁判所の破産宣告を受けた。

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