若いアメリカ女性が急速に「左傾化」している背景 トランプ現象の反動で女性のリベラル化が加速
同じ6州では若い男性の53%が前大統領ドナルド・トランプを支持したのに対し、若い女性は29%だった。
若い女性にとってここ8年で何が変わったのかを確定的に指摘するのは難しいと、研究者たちは話す。しかし、リベラルを自認する女性の増加は、あることを示唆している。
左傾化を加速させたトリプルパンチ
何でもできると言われて育った世代の女性たちにとっては、トランプに対するヒラリー・クリントンの敗北、#MeToo運動、そして女性の中絶権を認めた「ロー対ウェイド判決」の破棄という出来事がトリプルパンチとなり、彼女たちの政治的な見方に強い影響を与えたということだ。
女子の自己肯定感を高め、市民社会参画を促し、以前は男性ばかりだった活動領域への関与を推進することが重視された時代に育ったのが彼女たちだと、調査会社PRRIの最高経営責任者(CEO)で政治学者のメリッサ・デックマンは指摘する。デックマンは最近、『The Politics of Gen Z(Z世代の政治)』という著作を発表した。
2016年以降に起きた出来事は、「性差別は過去のものではない」という矛盾したメッセージを彼女たちに与えたと、デックマンは言う。それが若い女性たちを、政治的により活動的にする要因になったというわけだ。
「そのすべての結果として、そうした少女たちは有権者になる頃までに、一段と自信を持つようになった。基本的に彼女たちは、自分たちには変化を起こす力があると信じている」と、デックマンは話す。
一般的に若者は上の世代よりもリベラルだが、投票率は低い傾向にある。しかし、データによれば、Z世代の女性は政治への関与に積極的で、同年代の男性よりも投票率が高い。有権者が18歳前後のときに経験した政治的な出来事は、生涯にわたる考え方を形成する上で強力な影響力を持つことが、研究で示されている。