サイゼがじわじわ「メニュー数」を減らす本質理由 ファミレス衰退のなか、ファストカジュアルに移行?

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実は、この業績の裏側にあるのが「ファストカジュアル」業態へのシフト。

同社の説明によれば、「ファストカジュアル」とは、「ファミリーレストラン」と「ファミレス」の間に位置するもので、価格帯としてはファミレスよりも安く、ファストフードよりは手の込んだ料理を食べられる業態だ。いわば「ファミレス」からの脱皮を目指している。

では、なぜ、この「ファストカジュアル」が業績の改善につながったのか? 現在のファミレス業態を踏まえながら解説する。

「低価格路線の維持」と「メニュー数の削減」で他社との差別化を行う

サイゼリヤはここ最近、「ファストカジュアル」を掲げた店舗改革を行っており、具体的な施策としてあげられるのは「低価格路線の維持」と「メニュー数の削減」だ。

特に、全体的な物価高の中で値上げが続く他のファミリーレストランに対して、この低価格路線は大きな強みになっている。メニュー表を見れば、いまだに看板商品の「ミラノ風ドリア」が税込300円で驚いてしまう。

ミラノ風ドリア
みんな大好き、ミラノ風ドリア。今も300円で提供されている。さすがにこのメニューがなくなることはないだろうが、「パスタの大盛り」などはすでになくなった(編集部撮影)

また、「メニュー数の削減」は店舗オペレーションの効率化につながり、その分を価格に反映できるから、結果的にこれも「低価格路線の維持」につながる戦略だといえるだろう。

ちなみに、メニュー数が絞られることによってキッチンスペースの削減、ひいては店舗面積の削減にもつながるから、これまでサイゼリヤが出店できなかった場所への出店も可能になるかもしれない。

実は同社では、2020年にも「伊麺処」(パスタドコ)という店で「ファストカジュアル」業態を掲げていた。本格パスタを身近に手軽に楽しんでもらう目的で、パスタは税込500円から提供。「安さ・手近さ」と「本格さ」を融合させたというわけだ。

オープン当初のインタビューに対し、担当者は「ファミリーレストランの業態は店舗面積が50~60坪(約165~200平方メートル)ないとできない。そこで、その半分程度の広さで出店できる伊麺処を立ち上げた。伊麺処はサイゼリヤが出店できない地域を埋めていく役割を担っている」と述べている(日経クロストレンドによる)。店舗面積の関係で出店できない場所を穴埋めする役割が期待されていたことがうかがえる。ただ、この業態はあまり浸透しなかった。

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