サイゼがじわじわ「メニュー数」を減らす本質理由 ファミレス衰退のなか、ファストカジュアルに移行?

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ちなみにこの聞き慣れない「ファストカジュアル」という単語、同社の公式サイト(沿革のページ)にも登場する。

サイゼリヤ公式サイト 沿革
聞き慣れない「ファストカジュアル」という言葉だが、同社の公式サイト(沿革のページ)にも登場しており、また「ファストフード」とは異なる位置づけだとわかる(画像:サイゼリヤ公式サイトより)

同社は以前より、新業態開発を続けてきている。始まったのは2005年8月のことで、初のファストフード・ハンバーガー業態の「EatRun(イート・ラン)」を開店。同年の11月には、初のファストカジュアル店でスパゲッティとタコス業態の「スパQ&TacoQ」を開始した。また2007年には、これまたファストカジュアル店である「サイゼリヤEXPRESS」を開店したが、なかなかうまくいかなかったようで、全店を閉店することになった。

このような歴史を考えると、同社にとって、サイゼリヤで「ファストカジュアル」業態を目指すのは、「伊麺処」などが果たせなかった出店戦略の一部を行うことにつながるのかもしれない。その意味でも「ファストカジュアル化」はあらゆる点でサイゼリヤに強みをもたらしている。

全体的に厳しいファミレス業界

「ファストカジュアル化」の利点は、現在のファミレス業界を取り巻く環境にも影響されている。それが、近年のファミレス業界の苦境だ。

日本ソフト販売株式会社が発表している統計データによると、2023年、ファミレスの数は前年比で店舗数が1.8%減少している(前年は3.1%減)。次に掲載するグラフはガスト、サイゼリヤ、ジョイフル、ココスという大手4社の国内出店数のグラフだが、それぞれ、じわじわ減ってきていることがわかるだろう。

ファミレス国内店舗数・推移のグラフ

筆者はその理由について、ファミレスの「なんでもある」という特徴が消費者にとって魅力に映らなくなっているからでは、と考えている。

現在は一品目特化型の、いわゆる「カテゴリーキラー」といわれるチェーンレストランが多く誕生し、それらの質も向上している。ニーズが複雑化・多様化している中で、「なんでもある」ファミレスが中途半端な存在になり、ニーズに応えられなくなっている側面があるのではないか。いわば、ターゲットがあやふやになっているのだ。

それを証明するように、ファミレス大手のすかいらーくグループは、ガストやジョナサンといったファミレスの一部を「しゃぶ葉」といった一品目特化型のレストランに変えている。

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