「大学お笑い」出身芸人の増加で変わる業界勢力図 純粋にお笑いを追求する人が進める健全化

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文部科学省が発表した2023年度の学校基本調査では、大学進学率は
57.7%であり、8年連続で過去最高を更新した。いまや若者の2人に1人以上が大学に進学する時代なのだ。

一昔前までは、大学を出てお笑いの道に進む人はほとんどいなかったので、奇異の目で見られることが多かった。特に、偏差値の高い有名大学を出て芸人になるような人は、業界内では変わり者として扱われるようなところがあった。

今では世の中全体でも大学に進む人が多くなっているし、お笑い界でもそれが珍しいことではなくなった。

一流大学を出て就職もせずに芸人になるような人は、大企業に就職して安定した収入を得る道を捨てて、自分の夢を追っている。そういう人はお金のためにお笑いをやるのではなく、やりがいを求めて芸人の仕事をやっている。

一攫千金狙いが減少

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学歴がない人が一攫千金を狙って芸人になる、というような現象が今では少なくなり、純粋にお笑いが好きな人がお笑いをやる時代になった。そのことでお笑い界の健全化がますます進んでいる。モテたい、稼ぎたいといった下心が入り込む余地がなくなり、純粋にお笑いを追求する人が増えていく。

一方、そのことでハングリー精神のようなものがなくなり、ガツガツしたタイプの芸人が減っていくおそれもある。

これから大卒者がどんどん増えることで、お笑い界の勢力図がどう変わっていくのか、そこでお笑いの中身にどういう質的な変化があるのか。今後はそれも気になるところだ。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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